今後、増加が予想される未払い賃金・未払い残業代請求

今後、未払い賃金請求に関する労務トラブルが増える可能性があります。

その原因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による失業者の増加に加えて、民法改正が大きくかかわってきます。

┃未払い賃金とは

時間外労働に対する割増賃金を支払っていなかったり、時間単価が最低賃金を下回っていたりする場合に未払い賃金が発生します。

○時間外労働に対する割増賃金
原則として「1日8時間」「1週間40時間」を超えて労働した場合には、割増賃金が発生します。

所定の手続きに基づき、変形労働時間制や裁量労働制を導入している場合は例外ですが、それ以外の場合は、上記の法定労働時間を超えると割増賃金が発生します。

割増賃金を支払っていない場合には、今、この瞬間も未払い賃金、未払い残業代が発生している可能性があります。

○最低賃金
例年、毎年10月に全国一斉に最低賃金が改定されます。

最低賃金は、時間単価であらわされており、月給者や年俸の従業員であってもその給与を時間単価に換算して、最低賃金を上回っているかどうかを判断します。

正規雇用労働者(正社員)の他、パートタイマーやアルバイト、さらには外国人労働者等、すべての労働者に対して最低賃金は適用されますので注意が必要です。

┃民法改正

これまで、労働者が事業主に対して、未払い賃金を過去に遡って請求することのできる期間は2年とされており、2年を超えると時効により消滅していました。

しかし、2020年4月に改正民法が施行されたことに伴い、労働基準法も民法の基準に合わせるために時効が5年に延長されました。

これにより労働者が事業主に対して、未払い賃金を過去に遡って請求することのできる期間が5年になったということです(ただし、経過措置として当分の間は3年)。

単純計算でも未払い賃金として請求できる金額が1.5倍に増えたことになります。

┃新型コロナウイルス感染拡大の影響

新型コロナウイルス感染拡大により、事業の閉鎖(倒産等)が増加したり、人員整理を行ったりする等、今後、失業者が増えることが予想されます。

職を失った人達は、次の仕事を探すことになりますが「仕事が見つからない」人が必ず出てきます。

そのように意図せず職を失った人が前職に対して、「不当解雇」「未払い賃金請求」等の訴えを起こすことは十分に考えられます。

日々の生活が安定していた時はあまり気にしなかったり(がまんしていた)、うやむやになっていたりしたことが失業や信頼関係が崩れることにより、「もらえるものはもらいたい」という思いに変わります。

┃事業主が今すぐにとるべき対応

以上のような未払い賃金・未払い残業代請求は、必ず起こるといっても良いでしょう。

事業主として今できることは、
○未払い賃金が無いか現状を把握する
○未払い賃金が発生しないよう就業規則や賃金規程を見直す
○未払い賃金が今後、発生しないよう勤怠管理や給与計算を確実に実施する

という対策が必要です。

これらの対応をすぐに実施したとしても過去の未払い賃金は、時効を迎えるまで消滅はしませんが、今以上の未払い賃金の増加は抑えることができます。

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