雇用調整助成金の手続きがさらに簡素化されます

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて雇用調整助成金は、これまで何度も要件緩和と手続きの簡素化が行われてきました。

厚生労働省は5月19日、さらなる要件緩和と手続きの簡素化を行うことを発表しました。

┃雇用調整助成金のさらなる要件緩和と手続きの簡素化

5月19日付けのさらなる要件緩和と手続きの簡素化は、小規模事業主(概ね従業員数20人以下)とそれ以外の事業主に分けられます。

┃小規模事業主に対する要件緩和と手続きの簡素化

○助成金額の計算方法を簡素化
小規模事業主については、次の計算方法により助成金額を算出することができるようになります。

助成額 =「実際に支払った休業手当額」×「助成率」

○支給申請書の簡素化
小規模事業主については、従来の支給申請書よりも記載項目が削減された書式が公開されました。

┃すべての事業主に対する要件緩和と手続きの簡素化

○雇用調整助成金のオンライン申請開始
5月20日(水)12:00よりオンライン申請の受付が開始されます。

ただ、まだ一部に不備があるようです。

雇用関係助成金のオンライン申請はこれまで例がなく、今回のシステムも急造であることは否めません。

弊社としては、簡易書留等、記録が残る方法での郵送での申請をお勧めしたいと考えています。

○休業等計画届の提出を不要に
従来は、事前の休業計画届の作成が必要でしたが今回、新型コロナウイルス感染症に伴う特例として休業計画届の提出が省略されました。

これにより、事前の計画が不要になり、事後の実績報告と支給申請のみ実施することとなりました。

ただし、休業協定書に関しては、引き続き作成が必要です。

○助成額の算定方法の簡略化
助成金額の算出の際、従来は前年度の「労働保険確定保険料申告書」を元に算出する必要がありました。

今回の特例により「源泉所得税」の納付書を用いて、1人当たりの平均賃金額を算出することも認められることになりました。

所定労働日数の算定方法も簡素化が行われ、休業等実施前の任意の1か月を基に「年間所定労働日数」を算定することが認められます。

○雇用調整助成金の申請期限
2020年1月24日から5月31日までの休業等に関する支給申請について事後申請が認められ、申請期間が2020年8月31日まで延長されました。

また、休業手当について、給与支払日前で支払いが実行されていなくても、賃金締切日以降、休業手当の金額等がわかる賃金台帳や給与明細を添付することで支給申請ができるようになります。

┃雇用関係助成金の要件緩和と手続きの簡素化に関する注意点

○必要な書類は必ず整備・保管しておくこと
簡易版のマニュアルでも「このほか、審査に必要な書類の提出をお願いすることがあります。」と明記されており、追加書類が必要になる可能性があります。

要件緩和や手続きの簡素化により申請書類や添付書類が省略されていますがこれは「省略」であり「免除」ではありません。

就業規則や賃金規程、出勤簿やタイムカードは、過去の分を含めて保存義務があります。

支給申請を簡素化した分、今後、実地調査等が厳しく行われることも考えられますので、必要な労務管理書類は、必ず保管しておくようにしてください。

適切な保管がされていない、助成金の返還が必要になることがあります。

○助成金額の算出方法はよく検討する
雇用調整助成金の特徴は、事業主自身が助成金額の算出をしてその金額に基づいて支給が行われるということです。

小規模事業主については、簡易的な算出方法での申請も認められていますが原則通りの計算で算出した場合と比較して助成金額が低額になる可能性があります。

簡素化された要件で申請をする場合には、そのことも忘れないようにしてください。

顧問社労士がいる場合には、どちらの方法で支給申請を行うかよく相談をすると良いでしょう。

なお、5月19日付けの厚生労働省の発表では、助成金額の上限引き上げについては、触れられていません。

*厚生労働省
雇用調整助成金の手続を大幅に簡素化します