経営陣に近い働き方┃企画業務型裁量労働制の導入

企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関わるような企画、運営に従事する労働者に対して適用します。

主に「幹部クラス」の労働者が対象になるケースが多いと考えられ、業務の性質上、業務の進め方や手順、時間配分などを労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として定められた一定の条件に該当する場合に適用することができます。

┃労働基準法の原則

労働時間は原則として
・一日につき、8時間
・一週間につき、40時間
この時間を超えて労働を命じることはできません(労働基準法第32条)。

この法定労働時間を1分でも超えて時間外労働や休日労働を命じる場合には、<36協定(時間外・休日労働に関する協定届)>を労働基準監督署へ届け出る必要があります。

しかし、事業の運営について企画、立案、調査、分析をする人たちにとっては、このような原則的な枠組みにとらわれない方が成果が出せる場合があります。

そのような場合に企画業務型裁量労働制を導入します。

┃企画業務型裁量労働制

事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務であって、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し具体的な指示をしない業務として、定められた一定の条件に該当する業務に従事する労働者に対して適用します。

┃企画業務型裁量労働制の対象

○事業場
・事業運営上の重要な決定が行われる事業場
・企業全体の事業運営に影響を及ぼすもの
→本社、本店など事業の中心にある事業場

○労働者
対象業務に従事する労働者であって、この制度によることに同意したもの

┃導入の要件

○導入の要件
委員会の委員の5分の4以上の多数による議決により次の事項について決議し、決議内容を所轄労基署長に届け出ること。
①対象業務の範囲
②対象労働者の具体的範囲
③1日あたりのみなし労働時間数
④対象労働者に適用する健康・福祉確保措置
⑤対象労働者からの苦情処理のための措置
⑥本人の同意の取得・不同意者の不利益取扱いの禁止に関する措置
⑦決議の有効期間の定め
⑧④、⑤、⑥等に関する記録を、の期間及びその後3年間の保存

○労使委員会の要件
①委員の半数が、過半数労働組合(これがない場合は過半数代表者)に任期を定めて指名されていること
②委員会の開催の都度、議事録を作成し、3年間保存をすること
③議事録を、作業場の見やすい場所への掲示、備付け等によって労働者に周知していること
④委員会の招集、定足数等委員会の運営に関する規程が定められていること
⑤④の規程の作成・変更について、委員会の同意を得なければならないこと
⑥委員会の委員であること等を理由として不利益な取扱いをしないようにすること

┃届け出

以下の事項について、労働基準監督署への届け出が必要です。
①委員会の決議の所轄労基署長への届出
②当分の間、次の事項について、決議の日から6カ月以内に1回、所轄労基署長への報告
イ.対象労働者の労働時間の状況
ロ.健康、福祉を確保する措置の実施状況

┃その他

委員会の決議事項の具体的内容、制度運用上の留意点等について指針が示されていることが必要です。

┃企画業務型裁量労働制の対象者の具体例

【企画業務型裁量労働制に該当する例】
・本社に所属しており、事業戦略を策定している
・事業本部に所属しており、特定の製品について企業全体の事業戦略を立てる
・東北本社等、広い地域を統括しており、その地域の事業戦略を策定している

【企画業務型裁量労働制に該当しない例】
・各支店、支社の個別の事業戦略の策定(支店長、支社長など)
・個別の営業活動

職名のみ「企画営業」などとしていても本人に労働時間の裁量がなかったり、顧客への提案について企画、立案していたりする場合には、企画業務型裁量労働制に該当しません。

適切な導入と運用をしていく必要があります。

*厚生労働省
企画業務型裁量労働制

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