日本郵便を巡る3つの事件┃大阪高裁から上告された事件

正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差の解消、同一労働同一賃金について最高裁判所で争われていた事件の判決が出されました。

今回は、日本郵便を巡る3つの事件のうち大阪高裁から上告された事件について見ていきます。

┃事件の概要

【事業主側】
訴えを起こされたのは日本郵便株式会社

【労働者側】
・労働者(元労働者)は、会社と有期労働契約を締結していた
・締結した有期労働契約は反復更新されていた
・非正規雇用労働者は、月給者と時給者がいた

【争いの内容】
・正規雇用労働者(無期契約労働者)と有期雇用労働者の間で次の待遇差があった
→年末年始勤務手当、祝日給、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇
・待遇差は法律違反であり無効

非正規雇用労働者側は、こうした不合理な差別を行った会社に対して損害賠償請求等を求めました。

┃裁判所の判断

【年末年始勤務手当】
年末年始勤務手当は、
・12月29日から翌年1月3日までの間において実際に勤務した
・最繁忙期に勤務したこと
・多くの労働者が休日として過ごしている期間に業務に従事したこと

こうしたその勤務の特殊性から基本給に加えて支給される対価としての性質を有するものであるといえる。

このような年末年始勤務手当の性質や支給要件及び支給金額に照らせば、非正規雇用労働者に支給されないのは不合理。

【年始期間の勤務に対する祝日給】
祝日給は、
・祝日のほか、年始期間の勤務に対しても支給される

祝日給を正社員に支給する一方で非正規雇用労働者には支給しないという労働条件の相違があることは不合理。

【扶養手当】
扶養手当は、
・正社員に対して扶養手当が支給されている
・正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待される
・生活保障や福利厚生を図り、扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせる
・継続的な雇用を確保する
以上のような目的がある。

上記目的に照らせば、非正規雇用労働者についても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、扶養手当が支給されるべき。

【夏期冬期休暇】
夏期冬期休暇は,有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものである。

非正規雇用労働者に対して、夏期冬期休暇を与えられないというのは不合理。

┃まとめ

裁判所は以上のように判断し、【年末年始勤務手当】【年始期間の勤務に対する祝日給】【扶養手当】【夏期冬期休暇】について、正社員と非正規雇用労働者の間に不合理な差別があったことを認めました。

今後、「契約社員だから」「パートタイマーだから」「アルバイトだから」という理由で正社員と待遇差を設けるのは違法と判断される傾向が強まると考えられます。

契約形態ではなく、各手当や休暇制度の趣旨や目的を一つずつ、検討していく必要があります。

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