36協定届の新様式「押印・署名の廃止」に伴う実務対応

36協定が新様式になり使用者と労働者代表の押印・署名が廃止されることになりました。

ただし、押印・署名をしないこととするためには注意点があります。

┃「36協定」

36協定(サブロクキョウテイ)とは、事業主が労働者に対して残業(時間外労働や休日労働)を命じる場合に必要な手続きです。

36協定を締結しないまま命じた残業は、労働基準法違反になります。

一般的に多くの事業所では、「36協定届」に記名・押印をして、それを「36協定」として労働基準監督署へ提出していますが本来は「36協定」と「36協定届」は異なるものです。

┃「36協定」と「36協定届」

本来は、「36協定」を作成し、そこに使用者と労働者代表が記名・押印をします。

そして、その内容を届け出用の様式「36協定届(様式第9号)」に転記して届け出を行います。

しかし36協定は、例外的に「36協定届に労働者代表の押印等を加えることにより、これを36協定の協定書とすることは差し支えない」ものとされているのです。

*昭和53.11.20 基発642号、昭和63.3.14 基発150号、平成11.3.31 基発168号

┃2021年4月からの変更内容

労働基準監督署へ提出をする「36協定届」への押印・署名を省略するためには、本来の「36協定」を作成・締結する必要があります。

そして、締結した「36協定」を事業所の見やすい場所に掲示したり、書面で配布したりする等の対応が必要です。

新しい「36協定届」には、のチェックボックスが新設されますので、適切に労働者代表が選任されていることを確認してチェックをいれます。

なお、2020年12月22日以降に開始する協定については、押印・署名を廃止した新様式で提出することが可能です。

┃具体的な実務対応

本社で手続きを取りまとめていたり、社労士事務所が手続きを代行していたりする場合、次のような流れで届出を行っているケースが多いです。

①前年の時間外労働の実績、今後の削減目標を検討
②検討した内容を元に「36協定届」を作成
③労働者代表の選任
④労働者代表と使用者で合意のうえ、36協定を締結
⑤使用者が「36協定届」に押印・記名
⑥労働者代表へ「36協定届」を送付
⑦労働者代表が「36協定届」に押印・記名
⑧使用者(本社等)へ「36協定届」を返送
⑨使用者(本社等)から労働基準監督署へ提出
⑩労働基準監督署から受理印を受ける
⑪受理印を受けた「36協定届」を掲示・配布

以上のような流れのうち、押印・署名の廃止により⑤から⑧については、データでのやり取りが可能になる他、⑨についても電子申請が利用できます。

そうすると時間短縮の他、郵送コストの削減にもつながります。

押印は不要になりますが「記名」は引き続き必要なので注意してください。

*厚生労働省
労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について