配偶者手当とは、扶養家族になっている配偶者がいる従業員に対して生活費の補填として支給する福利厚生的な手当の一つです。
最近、行政機関も巻き込み配偶者手当の見直し(廃止)が議論されています。
┃配偶者手当
以前は、「男性が働き」「女性は家庭を守る」という考えの元、配偶者がいる男性従業員に対して配偶者手当を支給するという企業が少なくありませんでした。
配偶者手当の支給対象となる配偶者の条件としては、
・健康保険の扶養家族であること
・税法上の扶養家族であること
などが挙げられます。
そのような「男性が働き」「女性は家庭を守る」という考え方が平成から令和になり変わってきています。
┃配偶者手当が女性の社会進出を阻む?
配偶者手当の支給条件として健康保険または税法上の扶養家族であることというのは、配偶者に対して一定の収入要件を設けていることになります。
そうすると「○○円以上の収入があると配偶者手当が付かなくなる」という気持ちが働き働く時間を制限することになります。
そうした就業制限、就業調整が女性の社会進出を阻む一因であると考えられています。
【就業調整の実態とその影響】

*厚生労働省資料より抜粋
┃配偶者手当を廃止すれば良いか?
「行政機関がそのように言うなら配偶者手当は廃止しよう」と考える事業主もいますがそう簡単にはいきません。
現状、支給されている手当を廃止したり減額したりして賃金の金額が減ってしまうと労働条件の不利益変更となり、労務トラブルの原因となります。
賃金制度の変更を行う場合には、就業規則の変更や従業員への説明など適切な方法で対応していく必要があります。
┃配偶者手当廃止の方向性
配偶者手当を廃止する場合の代償措置として次のようなものが考えられます。
①基本給へ振り替える(上乗せする)
②他の手当に振り替える(家族手当、子ども手当等)
ただ単に配偶者手当を廃止するだけでは、労働条件の不利益変更となりますので、他の手当で補填するなどの対応が必要になります。
一例として「他の手当に振り替える(家族手当、子ども手当等)」と挙げましたが、最近では必ずしも結婚して子どもを育てる人ばかりではないのでそれも悩ましいです。
いずれにしても手当の改廃や賃金制度の変更は、専門家の指導の元、進めるようにしてください。
*厚生労働省
配偶者手当の在り方の検討