厚生労働省は、2022年度における労災補償業務について次のような方針を示しました。
┃新型コロナウイルス感染症に伴う労災認定
新型コロナウイルス感染症に伴う労災請求件数は4000件以上に上っており、今後も増加が予想されます(2021年2月22日現在)。
新型コロナウイルス感染症に関しては、感染と業務との関連が認められる場合には、労災補償の対象になる可能性があります。
厚生労働省の方針としては、次のようなことが挙げられています。
○迅速・的確な労災認定
- ・速やかに調査に着手すること
- ・調査の効率化による処理の迅速化を図ること
- ・迅速かつ公正に労災保険給付を受けられるよう的確に対応すること
○事業主への請求勧奨
都道府県労働局が事業場での集団感染を把握した場合には、労災請求を行うよう事業主に対して勧奨(働きかけ)を行うこと。
┃長時間労働・過労死等事案に伴う労災認定
長時間労働・過労死等事案についても次のような対応が示されています。
○労働時間の的確な把握
- ・使用者の指揮命令下にあることが認められる時間を的確に把握する
- ・客観的な資料等を可能な限り収集する
- ・上司・同僚等事業場関係者からの聴取等を踏まえて事実関係を整理・確認する
- ・終業時刻および休憩時間を詳細に特定する
ここでいう客観的な資料とは、タイムカード、事業場への入退場記録、パソコンの使用時間の記録等を言います。
こうした記録がそもそも無い、ということになれば、労務管理がずさんであると判断されても仕方ありません。
労災認定されるほどの長時間労働がある場合、同時に賃金未払い残業が発生している可能性もあり、未払い残業代請求も同時にされることも考えられます。