最低賃金の改定が企業に与える影響

各都道府県労働局では、地方最低賃金審議会からの意見を受けて今後、10月以降に施行される地域別最低賃金の金額を決定していきます。

最低賃金改定の影響は、時給で働くパートタイマーやアルバイトの時給を見直すだけにとどまりません。

┃最低賃金は時給者だけのものではない

最低賃金というと時間単価で示されるため月給で賃金が支払われる正社員等には関係ないと考えている事業主もいますがそれは間違いです。

時給制のパートタイマーやアルバイトだけではなく、月給制や年俸制の社員にも最低賃金は適用されます。

月給制や年俸制、日給制の場合は、時給に換算して最低賃金を満たしているかどうかを判断します。

┃最低賃金改定で正社員との逆転が起こる

最低賃金の改定に合わせて時給制の社員だけ、時間単価の見直しをしていると正社員との逆転現象が起きてしまうことがあります。

次のようなケースでは、賃金の逆転が起きていないか、バランスが崩れていないか、確認する必要があるでしょう。

  • ・基本給が低い(低い人がいる)
  • ・基本給を最低賃金に近づけみなし残業代を付けている

仮に月間所定労働時間が165時間、最低賃金が1041円(東京都/2021年度予想)とした場合、

1041円×165時間=171,765円となります。

正社員の基本給がこの金額に近い(同等)場合、10月以降、パートタイマーやアルバイトの時給だけを見直していると賃金の逆転が起こる可能性があります。

┃賃金制度・賃金テーブル全体の見直しが必要になることも

賃金の逆転が起こる場合、パートタイマーやアルバイトの時給を最低賃金改定に合わせて見直すだけではなく、賃金制度・賃金テーブル全体の見直しが必要になります。

例えば、賃金テーブルの1等級1号棒を最低賃金に合わせているようなケースでは、最低賃金の改定に合わせて賃金テーブル全体のベースアップが必要になることも考えられます。

┃最低賃金の確認方法

最低賃金は時間給で表示されていますが、最低賃金を満たしているかどうかは月給の正社員等にもかかわってきます。

最低賃金を満たしているかどうか確認する方法は、次の通りです。

(1) 時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)

(2) 日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)

(3) 月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

(4) フルコミッション制の場合など
フルコミッションの賃金÷賃金計算期間の総労働時間≧最低賃金額(時間額)

最低賃金を下回っていると賃金未払いで労務トラブルの原因になる他、労働基準法上の罰則(罰金)が科されることがあるので注意してください。