長時間労働が疑われる事業所への監督指導(令和2年度)

厚生労働省では毎年、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめて公表しています。

令和2年度に調査対象になった事業所は24,042事業所、そのうち8,904事業所で違法な時間外労働が認められました。

┃調査対象になる事業所

労働者からの通報等により1箇月あたりの時間外・休日労働が80時間を超えていると疑われる事業所や過重労働による労災請求が行われた事業所が対象になります。

36協定(時間外、休日労働に関する協定届)に特別条項を付記した場合にも長時間労働が疑われ、調査対象となる可能性が上がるともいわれています。

労働者の通報は、労働基準監督署へ直接赴く他、電話やインターネット、官公庁内に併設された総合労働相談コーナーでも受け付けられています。

労働者側としては、相談できる環境が増えて相談しやすくなっている一方、コンプライアンス意識が希薄な事業者にとっては、いつでも監督指導対象になる可能性があると言えます。

さらには長時間労働を心配した家族から通報がなされるケースもあるようです。

┃監督指導結果のポイント

令和2年4月から令和3年3月までの監督指導結果のポイントは以下の通りです。

(1) 監督指導の実施事業場:24,042事業場

(2) 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]

  • →1違法な時間外労働があったもの:8,904事業場(37.0%)
  • →2賃金不払残業があったもの:1,551事業場(6.5%)
  • →3過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:4,628事業場(19.2%)

(3)主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]

  • →1過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:9,676事業場(40.2%)
  • →2労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,301事業場(17.9%)

┃監督指導事例

労働基準監督署の監督指導は、次のような事案について指導や是正勧告がなされます。

  • ・36協定で定めた上限時間を超える違法な時間外・休日労働が認められた
  • ・1か月80時間超の時間外労働等を⾏っているのに医師による⾯接指導が未実施
  • ・一部の労働者について、労働時間を把握していなかった
  • ・36協定の労働者代表の選出方法が不適切だった
  • ・年次有給休暇の時季指定義務(5日以上)が未実施

以上のことに一つでも当てはまる場合、労働関係法令に違反している可能性が高いので、早急な是正が求められます。

*厚生労働省
長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表します