外国人技能実習生や外国人労働者に対する違法労働を巡る労務トラブルは少なくありません。
言葉の問題等もあり声を上げられない外国人が多いということもあり、厚生労働省では技能実習生が在籍している事業場への監督指導にも力を入れています。
2020(令和2)年度は、8,124事業場に対して監督指導が実施され、そのうち5,752事業場で労働基準法等の違反が認められました。
┃調査対象になる事業所
監督指導の対象になるのは、外国人労働者本人から通報があった場合等、次のような事業場です。
- ・外国人労働者本人から労働基準監督署等へ通報があった
- ・労災事故が発生した
- ・外国人技能実習機構からの情報提供
┃監督指導結果のポイント
監督指導の対象になったのは技能実習生が在籍している8,124事業場で、そのうち5,752事業場で労働基準法等の違反が認められました。
- 主な違反事項は、
- (1)使用する機械等の安全基準(24.3%)
- (2)労働時間(15.7%)
- (3)割増賃金の支払(15.5%)
の順で、重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検されたのは32件でした。
┃監督指導事例
労働基準監督署等が実際に監督指導を実施したのは、次のような違反に対してです。
- ・機械設備について安全管理措置が取られておらず労働者がけがをした
- ・技能実習生に対して最低賃金未満の賃金しか支払っていなかった
- ・技能実習生に対して適切に割増賃金を支払っていなかった
- ・技能実習生の給与から実費以上の水道光熱費が控除されていた
- ・技能実習生の給与から法定以上の社会保険料が控除されていた
労働基準監督機関では、出入国管理機関・外国人技能実習機構との間で、その監督等の結果を相互に情報共有をしています。
違法労働を隠そうとしてもいずれは必ず発覚すると考えた方が良いでしょう。