新型コロナウイルス等に感染した場合の事業主の対応

新型コロナウイルスの感染が国内外で拡大しており、重症患者も発生しています。

新型コロナウイルス等に従業員が感染した場合、事業主としてどのような対応をするべきか考えておく必要があります。

湖北省または浙江省への渡航歴がある従業員

14日以内に湖北省または浙江省への渡航歴がある従業員が、発熱や呼吸器症状がある場合は、マスク着用などの感染拡大防止をした上で保健所へ連絡します。

その後、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

従業員に対しては、年次有給休暇を使用し医療機関を受診するよう促したり、一定期間休養するように指示をしたりするのが現実的でしょう。

休業手当の支払い

新型コロナウイルスに感染した疑いがある、という段階で事業主の判断で休業させる場合には、労働基準法に基づき休業手当を支払う義務が発生します。

なお、新型コロナウイルスに関しては感染症法により指定感染症に指定されました。

そのため、対象の従業員が医療機関を受診し新型コロナウイルスに感染したことが認められれば、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。

都道府県知事が就業制限や入院の勧告等の指示に従い、就業制限をさせる場合は、事業主に休業手当の支払い義務は発生しません。

労働基準法において「事業主に責任がある理由で労働者を休業させる場合には平均賃金の60%以上の賃金を支払う」ことが義務付けられています。

○事業主に責任がある理由とは
事業主に責任がある理由で休業させる場合とは、一般的に考える責任の範囲よりも広く考えられており、次のようなケースは事業主に責任があると考えられています。

・店舗の改装による休業
・工場の生産調整による休業

新型コロナウイルス感染者への現実的な対応

法律の原則的な考えに従えば、「感染の疑い」の段階での休業指示は、休業手当の支払い義務が発生することになります。

一方で、感染拡大を防ぐためにも疑いがあるものの出勤は停止させたい考えもあります。

事業主としては、まずは年次有給休暇の取得と医療機関の受診を促し、従業員が自主的に出勤を自粛するよう求めるべきでしょう。

それでも無理に出勤しようとする従業員に対しては、休業手当を支払ってでも休業させることが他の従業員や顧客への感染拡大を防ぐことになります。

ただし、強制的に年次有給休暇を取得させることはできません。

就業制限ができる感染症は意外に少ない

事業主の責任ではなく休業を指示できる、つまり休業手当の支払い義務が発生しない感染症は意外に少ないです。

感染症による休業に対して賃金の支払い義務が発生しないケースとは、感染症法に定められた一定の感染症に感染し、都道府県知事の指示を受けた場合のみです。

季節性のインフルエンザについても感染したことを理由に休業を命じた場合には、休業手当の支払い義務が発生すると考えられています。

賃金の支払いについて、労務トラブルに発展させないためにも正しい理解が必要です。

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※厚生労働省
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