厚生労働省は、8月8日に<平成30年度に賃金不払い残業をさせていた事業主への是正指導結果>を公表しました。
監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント
●是正企業数 1,768企業
→うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業
●支払われた割増賃金の平均額
1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円
今回公表されたのは、1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。
100万円未満の事案を含めればさらに多くの事業主へ是正指導を行っているものと思われます。
監督指導の方法
監督調査の際の指導内容は、次のようなことに着目して実施されます。
●タイムカードの不正打刻
残業をしている労働者がいるにもかかわらず、管理者が労働者全員のタイムカードを終業時刻に合わせて打刻していると労働者から通報があった。
タイムカードの打刻と入退館記録に乖離があり、タイムカード打刻後の残業が疑われた。
●出勤簿による不正
会社は、自己申告(労働者による労働時間管理表への手書き)により労働時間を管理していたが、自己申告の時間外労働の実績は最大月10時間となっていた。
過重労働相談ダイヤルに家族から「違法な長時間労働が行われている」と相談があり調査したところ、自己申告の記録と警備システム記録とのかい離があった。
自己申告による残業管理は疑われる可能性が高い
働き方改革関連法の成立により<すべての人の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握>できるような労働時間管理・勤怠管理が義務化されます。
直接的な表現ではありませんがこれは、「勤怠管理システムの導入」を促していると読み取ることができます。
その証拠に助成金や補助金でも設備投資を促すような内容のものが公表されています。
今後は、勤怠管理システムの導入が必要不可欠になっていくものと考えられます。
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労働時間管理の義務化
※厚生労働省
監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)