副業・兼業の場合の労働時間管理

2019年11月25日、厚生労働省で行われた第156回労働政策審議会労働条件分科会の中で「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方」について議論されました。

厚生労働省のモデル就業規則が改定された影響で「副業・兼業容認」とも言われていますが実際には課題も多く簡単に導入できるものではありません。

副業・兼業を認める上で大きな課題になるのが「労働時間通算の規定について」です。

労働時間の通算

二以上の事業場で勤務する場合、一日の労働時間が法定労働時間を超えることがあります。

法定労働時間を超えると割増賃金が発生しますが、その割増賃金をどちらの事業場が支払うかという問題です。

労働基準法第38条では次のように定められています。

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
つまり一日のうちに、「A事業場で7時間」働いた後、副業・兼業先である「B事業場で3時間」働いた場合、B事業場で働いたうちの2時間分については、割増賃金が発生することになります。

割増賃金を支払うのは誰か

一日のうちにAB事業場で就業し、時間外労働が発生した場合に割増賃金を支払う義務があるのは、

・法定労働時間を超えて当該労働者を労働させるに至った使用者
・それぞれの法定外労働時間を発生させた使用者
・労働契約を時間的に後から締結した使用者
とされている一方で、

通算した所定労働時間が既に法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長
するときは、先に契約を結んでいた使用者も含め、延長させた各使用者が同法上の義務を負うこととなる。

ともされており、一律に「後から雇用契約を締結した事業主が割増賃金を支払う」と決まっているわけではないところが、さらに問題を難しくさせているように感じます。

なお、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、企業の対応としては、「労働者からの自己申告により副業・兼業先での労働時間を把握することが考えられる」とされています。

副業・兼業を希望する者は年々増加傾向にある一方、多くの企業は、副業・兼業認めていません。

その背景には、以上のような難しい労務管理のが求められるということも原因として考えられます。

また、労働時間管理の問題だけではなく労働保険や社会保険に関しても複数の事業場で勤務している場合には、通常と異なる対応が必要となります。

そうした様々なことを考慮して副業・兼業を認めるかどうかを判断する必要があります。

※関連記事
労働基準法の「一日」の考え方
相談事例┃兼業・副業の時の労災保険、雇用保険、社会保険

※厚生労働省
副業・兼業の場合の労働時間管理について