東京都でも自転車損害賠償保険等への加入を義務化

2019年9月、東京都は条例を改正し一般の自転車利用者や自転車使用をする事業者等に対して自転車損害賠償保険等への加入を義務化しました。

自転車は、免許証も必要なく環境にも優しい便利な乗り物である反面、重大な事故の増加や損害賠償金額の高額化等も問題になっています。

事業者の責務

今回の条例改正により、次のことが事業者の責務として盛り込まれています。

○自転車通勤をする従業者に対する自転車損害賠償保険等への加入の有無の確認
○確認ができないときの自転車損害賠償保険等への加入に関する情報提供の努力義務化

条例では、仕事で従業員が自転車を利用している事業者のことを「自転車使用事業者」といいます。

「自転車使用事業者」とは、物品の配達、営業所間の移動、顧客回り、業務用品の購入等、事業活動に自転車を利用している全ての事業者を含むものとされています。

自転車使用事業者の努力義務

自転車使用事業者に対しては、次のような努力義務が定められています。
(1)従業員に対して、交通ルール・マナーを習得させること。
(第12条)
(2)自転車安全利用推進者を選任すること。
(第14条の2)
(3)従業員に対して、点検整備が行われた安全な自転車を利用させること。
(第17条・第21条)
(4)業務における自転車事故に備えた保険に加入すること。
(第27条)

自転車通勤をしている従業員がいる場合

自転車通勤に関して、まずはその従業員に責任が発生するものではありますが自転車通勤を認めている事業者に対しても一定の責任は発生します。

条例では事業者の義務として
「自転車通勤する従業員のために事業者が駐輪場所を確保するか、その従業員が駐輪場所を確保していることを従業員に対して確認すること。(第30条)」
が定められています。

さらに努力義務として、
「自転車通勤する従業員に対して、自転車の安全利用のための研修、情報提供等を行うこと。(第14条)」
が定められています。

事業主としての実務的な対応

東京都の今回改正された条例については、現状、罰則はありません。

しかし、業務中や通勤中に従業員が重大な事故を起こした場合、事業主に対しても使用者責任が問われることも考えられます。

事故の被害者が従業員本人に加え、事業主に対しても損害賠償請求を行うことも考えられます。

そういう意味では適切な対応が必要です。

①許可制として自転車利用者を管理する
業務利用であれば、駐輪場所の確保や運転者の把握、保険加入は対応している場合が多いと考えられます。

しかし、自転車通勤については管理できていないケースもありますので、許可制または届け出制として自転車利用者を特定します。

②規程の整備
自転車や自動車の利用について規程を整備し、規程に基づいて許可制(届け出制)の運用をします。

保険証券の提出等も義務付けるのが望ましいと言えます。

③教育・研修
規程を作った後は、その規程に基づいて安全運転教育や日常点検等について教育・研修を行います。

④保険加入
東京都を始め、多くの都道府県で自転車保険の義務化が進んでいます。

自宅の自動車保険でもカバーできる場合もありますが「業務中・通勤中」の事故にも対応できるかは、確認が必要です。

また、事業主としても使用者責任を問われた場合に対応した損害保険への加入を検討する必要があります。

労災保険に加入しているから大丈夫、という事業主もいますが労災保険は労働者本人を守る保険です。

事業主に対する損害賠償や相手方への補償は含まれないので注意が必要です。

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※東京都都民安全推進本部
東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例