実地調査、潜入調査、労働者への聞き取りも┃助成金の不正受給対策

助成金の不正受給は後を絶ちません。

出勤簿や賃金台帳、雇用契約書等に虚偽の記載をしたり、従業員に交付しているものとは別に「助成金申請用」のものを作成したり、その方法は様々です。

雇用関係助成金の不正受給対策の強化

いわゆる助成金ビジネスが横行しており、研修会社や助成金申請代行業者、無資格のコンサルタントなどが助成金申請に関与することによるトラブルの増加が背景にあると考えられます。

そうした影響もあり2019年4月以降、さらに助成金の不正受給対策が強化されました。

不正受給が発覚するパターン

労働局を始めとした行政機関が抜き打ち(ランダム)で調査をしたり、申請書類や添付書類の中から不正が疑われる事業所に対して調査をしたりというケースもあります。

加えて、「同業他社や労働者からの通報(タレコミ)」によって発覚するケースも少なくないようです。

「自分は正社員という約束で採用されたのに有期契約にされた(その後退職)」
「やめさせられた腹いせに不正を通報した」
「ライバル社の関係者が虚偽の内容で助成金の申請をしていた」

など、様々なケースが考えられます。

行政機関の調査の方法

通常であれば事前に予告をして行政窓口へ呼び出されるケースが多いでしょう。

悪質な場合には、あらかじめ潜入したり、事業主には予告せずに労働者へ直接聞き取りをしたりすることもあるようです。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を例に挙げるとこの助成金は、非正規雇用労働者を正規雇用へ転換する等して支給されるものですが「あらかじめ正規雇用転換を約束していた場合は対象外」となります。

つまり「正規雇用として募集をしたが」「助成金の申請をしたいから有期雇用からスタートする」というケースは、助成金の対象外ということになります。

実際には、「助成金の申請をしたいから有期雇用からスタート」させて助成金の申請をしている事業主も少なくありません。

こうしたケースに対して、「有期雇用労働者募集の求人が出ているか」を確認したり、労働者に対して、「正社員として採用されたのではないか」等の聞き取りをしたりするようです。

ある飲食店では店内に「正社員募集!」の貼り紙しか貼っていなかったことが不正受給と疑われる要因になったこともあるようです。

不正受給が疑われるケース

○非正規雇用求人(有期雇用求人)が出されていない
特にハローワークを活用している場合には要注意です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)であれば「非正規雇用求人(有期雇用求人)に応募してきた」人である必要があります。

○出勤簿・賃金台帳が不自然
毎日狂いなく出勤時間が「09:00-18:00」になっている場合、出勤簿以外に客観的に労働時間がわかる書類などを追加で求められるケースがあります。

不正受給は犯罪である、ということに再度、目を向ける必要があると考えます。

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