2019年度の雇用関係助成金の情報が公開されました。
20種類、60コース以上ある雇用関係助成金の中で比較的取り組みしやすいものや取り組んでいる事業所が多い助成金を紹介します。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期契約労働者、短時間労働者(パートタイマー)、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者を社内でキャリアアップさせる事業主に対して支給されます。
○キャリアアップのパターン
社内でのキャリアアップは、いくつかのパターンに分けられており、その取り組み内容によって助成金額が変動します。
① 有期契約労働者 → 正規雇用労働者
② 有期契約労働者 → 無期契約労働者
③ 無期契約労働者 → 正規雇用労働者
④ 派遣労働者 → 正規雇用労働者
⑤ 派遣労働者 → 無期契約労働者
○対象となる労働者
・正社員転換等の取り組みを実施した日に雇用保険と社会保険の被保険者であること
法定通り、雇用保険や社会保険に加入していることが最低条件です。
・支給申請日に在籍していること
支給申請日に既に離職していたら助成金は支給されません。
・6箇月以上、有期契約労働者等として雇用されていた者の転換等であること
有期契約労働者等として働いていた期間が最低でも6箇月間は必要です。
・同一の事業主やグループ会社等で有期契約労働者等として雇用されていた期間が3年以内であること
グループ会社等で働いていた人を転籍させるなどしても助成金の対象にはなりません。
3年超の長期間、有期契約労働者や無期契約のパートタイマーとして雇用していた人を「助成金の対象になるから」と無期契約労働者や正規雇用労働者へ転換しても助成金の対象にはなりません。
○対象にならない労働者
・過去3年以内にグループ会社等で正社員等だった人
正社員転換等を行う過去3年以内にグループ会社等で既に正規雇用労働者等として働いていた経験がある人は対象外です。
・事業主のまたは取締役の3親等以内の親族
事業主や取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族および姻族)を正規雇用労働者等へ転換しても助成金の対象にはなりません。
・短時間正社員に転換させた場合で所定外労働があった場合
短時間正社員へ転換させたにもかかわらず所定外労働が発生していた場合には、助成金の対象にはなりません。。
・始めから正規雇用労働者等への転換が予定されていたもの
助成金を申請するためにあえて有期契約労働者として雇い入れをした場合は対象外です。
・転換後、定年退職までの期間が1年以内のもの
正規雇用労働者等へ転換した後、定年退職までの期間が1年以内の場合には、対象にはなりません。
○キャリアアップ助成金を受給するための主な要件
以上の条件の対象となる労働者を正規雇用労働者や無期契約労働者へと転換することが必須条件となりますが、その他の主な条件は次のようなものがあります。
・キャリアアップ計画を策定し、労働局の認定を受けていること
正規雇用労働者への転換等を実施する前にキャリアアップ計画を策定し、労働局の認定を受ける必要があります。
・正規雇用労働者への転換制度等について就業規則に定めていること
就業規則を作成し、正規雇用労働者への転換制度等について明記する必要があります。
・正規雇用労働者等へ転換等をする時に「賃金を5%以上アップ」すること
※キャリアアップ助成金┃賃金アップの考え方
○助成金額(原則額・中小企業)
・有期契約から正規雇用への転換等 → 57万円
・有期契約から無期雇用への転換等 → 28万5千円
・無期雇用から正規雇用への転換等 → 28万5千円
この他、生産性要件を満たした場合等、助成金が加算されることがあります。
その他の詳しい受給要件や不支給要件については、厚生労働省の資料も確認をしてください。
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