• “手続き”マニュアル

常勤換算がわかる! 訪問看護ステーションの人員基準(開業・指定申請)

2021/5/10

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

訪問看護ステーションを開設するには、「人員基準」をクリアする必要があります。

「常勤換算」といった独特のカウント方法があり、

「スタッフは揃えたものの、本当に人員基準を満たしているかわからない…」

と、不安な方もいると思います。

訪問看護ステーションの人員基準について、基本から具体的な計算方法まで解説します。

┃訪問看護ステーションを立ち上げるには?

介護保険法に基づく訪問看護事業を行うには、都道府県知事または指定都市・中核市の指定を受けなければなりません。

この手続きを「指定申請」といいます。

指定申請では、

  • 法人であること
  • 人員基準を満たしていること
  • 必要な設備や備品が揃っていること

主にこの3点がチェックされます。

┃なぜ人員基準が設けられたのか

訪問看護はご利用者様の健康を預かる重要な仕事です。

安易に人手を増やしてサービスの質を落とすことは許されません。

安全で質の高いサービスを安定して提供できるように、看護関係の資格と実務経験を持つ人を必ず一定数配置しておくように決められています。

┃訪問看護ステーションの人員基準

訪問看護ステーションの人員基準は次のように決められています。

  • 管理者:1名
  • 看護職員:常勤換算で2.5人
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:実情に応じた人数

〇管理者になれるのはどんな人?

訪問看護ステーションの管理者になれるのは、常勤専従の保健師または看護師です。

資格があるだけでは足りず、医療機関での実務経験も条件となっています。

「常勤専従」というのは、正社員・正職員といった立場のスタッフと勤務時間が同程度で(常勤)、訪問看護以外の職務は原則として行わないこと(専従)をいいます。

〇看護職員に必要な資格は?

訪問看護における「看護職員」は、次の資格を持って働くスタッフを指します。

  • 看護師
  • 准看護師
  • 保健師
  • 助産師(健康保険法の指定を受けた訪問看護ステーションの場合)

管理者が看護職員を兼任することも可能です。

┃人数の考え方(常勤換算)

「常勤換算」という独特の人数の数え方があります。

先ほど看護職員の人員基準について「常勤換算で2.5人」と説明しました。

具体的にどういった計算方法で常勤換算を行うのか、続いて解説していきましょう。

〇常勤換算の計算方法

常勤換算とは、全従業員の合計労働時間が、常勤職員の何人分になっているかを考える方法です。

常勤換算を求めるには、次の式で計算します。

全職員の合計労働時間数 ÷ 常勤職員の所定労働時間数

常勤職員の所定労働時間が週40時間の訪問看護ステーションで、以下の4名が勤務していた場合、人員基準を満たすかどうか考えてみましょう。

看護師Aさん:週40時間 正職員
保健師Bさん:週40時間 正職員
看護師Cさん:週30時間 パートタイマー
准看護師Dさん:週20時間 アルバイト

(40+40+30+20)÷40=3.2
*小数点2位以下切り捨て

常勤換算は3.2人となるので、看護職員2.5人という人員基準はクリアします。

管理者を兼任させる場合は、「常勤専従」と考えられる看護師のAさんか、保健師のBさんが該当するでしょう。

*介護保険法
・第70条 指定居宅サービス事業者の指定

*厚生労働省令
・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

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