• ”労務管理”マニュアル

職業紹介の『お祝い金制度』が禁止に!【求人活動中の介護事業所も要注意】

2021/9/27

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

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こんな求人を見たことはありませんか?

2021年4月1日から職業安定法に基づく指針が一部改正となり、「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭を提供し、職業紹介事業を行うことが禁止されました。

「そういえばうちの事業所もお祝い金制度があるけど…」

そんな介護事業所のあなた、今の求人方法で大丈夫なのか要チェックです。

1.就職お祝い金とは

「就職お祝い金」と聞くと、転職をきっかけにもらえる何らかのお金と認識している人が多いのではないでしょうか。

転職をきっかけにもらえるお金は大きく分けて二種類あります。

  • 公的な給付としてもらえるもの
  • 民間企業が独自に給付しているもの

①公的な給付としてもらえるもの(就職促進給付)

就職促進給付は雇用保険上の制度です。

「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがあります。

失業者が安定した職業についた場合、そして継続して働き続けた場合に支給されます。

②民間企業が独自に給付しているもの

民間の求人の中で

『今なら入社祝い金〇万円!』

『継続勤務3か月で〇万円支給!』

といううたい文句を見たことはありませんか?

これらは民間企業や労働者派遣事業者、または有料職業紹介事業者が独自に給付している手当です。

中には数十万円以上もの高額なお祝い金を提示している企業もありました。

今回の改正では、職業紹介事業者の就職お祝い金制度が禁止されています。

2.職業紹介事業者の就職お祝い金が禁止になった理由

職業紹介事業者の就職お祝い金制度は、求人者(事業所)・求職者ともに悪影響を及ぼしている例がありました。

①職業紹介事業の質が下がってしまうから

職業紹介事業者に求められていることは、企業と人材の適切なマッチングです。

ところが高額なお祝い金を提示して、いわば求職者を「釣る」方法を採っている職業紹介事業者も見られました。

求職の勧奨はお祝い金の提供ではなく、職業紹介事業の質を向上させ、それをPRして行うのが本来のあり方です。

②不正に手数料を稼ぐ職業紹介事業者がいたから

「転職したらお祝い金を支払うから」と就職者に繰り返し転職を勧め、不正に手数料を稼いでいる職業紹介事業者の存在が問題視されていました。

就職者はキャリアを積むこともできませんし、事業所が人材を定着させる機会も奪ってしまいます。

こういった方法は労働市場のバランスをゆがめ、労働者の雇用の安定を阻害する行為にあたります。

③お祝い金だけが目当ての求職者が来てしまうから

単にお祝い金だけをもらう目的で就職する人がいます。

このような人は初めから仕事内容に興味もなく、お祝い金がもらえたらすぐ退職してしまいます。

お祝い金、給与、そして社員教育にかけた時間を思うと、事業所にとってはまさに災難といえるでしょう。

3.お祝い金制度が禁止されない例

今回禁止されたのは「職業紹介事業」のお祝い金制度です。

職業安定法第4条第1項では、「職業紹介」を「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること」と定義しています。

職業紹介事業に当たらない形で、お祝い金制度を設けることは現時点では禁止されていません。

例えば自社ホームページ内に求人専用コンテンツを作り、その中で「入社お祝い金〇万円支給!」と提示するのは、今のところ許容されうるでしょう。

また、雇用関係のあっせんを行わない「情報提供」タイプの求人サイトであれば、お祝い金を提示してもかまわないという考え方もあります。

しかしながらインターネットによる求人媒体では「職業紹介」と「情報提供」の区別は非常にあいまいになっています。

今後、職業紹介事業以外にも規制が拡大する可能性も捨てきれません。

4.【お祝い金禁止】のまとめ

  • 2021年4月1日から職業紹介事業者の「お祝い金制度」が禁止に
  • お祝い金制度が事業者・求職者両方に悪影響を及ぼすケースが存在する
  • 禁止されない例もあるが、ボーダーラインが難しい

過去の傾向ですが、介護事業所はとくに「お祝い金」を提示した求人広告が多い印象を受けます。

今のところ、介護事業所が職業紹介に当たらない形でお祝い金を提示するのは禁止されていませんが、そもそもお祝い金制度はデメリットも伴う求人方法です。

これからはお祝い金制度に頼らない採用活動を考えていく必要があるでしょう。

社会保険労務士法人GOALでは、事業所が求める人材に長く働いてもらえるための「採用定着支援サービス」を行っております。

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*社会保険労務士法人GOAL
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*厚生労働省
・「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました

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