• ”労務管理”マニュアル

10月10日は転倒予防の日│社会福祉施設の転倒事故防止を考えよう

2021/10/8

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

 

ご存知でしたか? 10月10日は「転倒予防の日」です。

介護事業は転倒による労働災害が特に多い職場であることがわかっています。

厚生労働省と消費者庁は、転倒予防の日を制定した日本転倒予防学会と協力して、国民に対する転倒予防の呼びかけを行っています。

この機会に、転倒による労働災害の実態と予防策を知っておきましょう。

 

1.社会福祉施設の労働災害発生状況

令和元年の労働者死傷病報告によれば、社会福祉施設での労働災害(休業4日以上)の死傷者数は10,045人でした。

これらをサービス別に分類すると、施設系サービスを提供する施設での死傷者数が最多でした。

休業4日未満の労働災害も含めると、労働災害の死傷者数は44,582人に上ります。

2.社会福祉施設で発生しやすい【労災事故】 とは?

社会福祉施設で起きやすい労災事故にはどのようなものがあるでしょうか。

同じく令和元年私死傷病報告によれば、『転倒』『動作の反復・無理な動作』が原因となった事故が特に多いそうです。

■『転倒』が特に多い施設

転倒が特に多いのは「訪問系」、「通所系」サービスを提供する施設です。

転倒の要因は『滑り』によるものが38% 『つまずき』によるものが37%

場所別にみると、屋内での転倒は58% 屋外では36%でした。

 

 

引用元:厚生労働省 社会福祉施設の労働災害発生状況

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000838437.pdf

 

■『動作の反動・無理な動作』が特に多い施設

「短期入所系」、「居住系」、「施設系」、「多機能系」の施設では動作の反動・無理な動作による労災事故が多いようです。

作業別にみると介助作業での被災の割合がかなり高く、84%に上ります。

介助作業をより細かく分類すると、ベッド上の介助作業とベッド移乗作業を合わせて52%

『その他』『不明』など理由のはっきりしない事故も多く、合わせて39%

入浴介助によるものは9%でした。

さらに一人介助か複数人介助かで分類すると、一人介助による事故の割合が圧倒的に多く、89%となっています。

 

引用元:厚生労働省 社会福祉施設の労働災害発生状況

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000838437.pdf

 

3.転倒事故は【女性】に多い!

社会福祉施設での転倒は特に女性と50代以上に多いようです。

死傷者のうち女性は約9割、50代以上は約8割になることがわかっています。

このような結果になった理由は、まず社会福祉施設は女性労働者が多い職場というのが挙げられます。

また50歳を超えると骨粗しょう症のリスクも高くなり、転倒によるケガが重症化しやすい点も原因として考えられます。

4.転倒防止のためにできる【ちょっとした工夫】

では転倒事故防止のためにいったい何をすればよいのでしょうか。

実は特別な設備投資をしなくても、『ちょっとした工夫』で転倒事故を防止できます。

①4S活動

厚生労働省のホームページでは、転倒防止に効果的なものとして「4S活動」を薦めています。

4S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔」のことです。

一見、とてもシンプルで当たり前の行動に思えてしまいますが、事故が起きやすい施設ではこの基本ができていないことが多いのです。

4S活動を行うと施設が見た目にきれいになるだけではなく、『滑り』『つまずき』を引き起こす障害物をなくすこともできます。

②危険の見える化

転倒事故が起きやすい場所、あるいは事故が起きてしまった場所の『見える化』も効果的です。

見える化の一例

・滑りやすい場所や段差がある場所に標識をつけておく

・転倒事故が起きやすい場所の『危険マップ』を作り周知する

③設備の改善

設備の改善といっても、大幅な工事をする必要はありません。

例えば明かりがうす暗かったり、電球が切れていたりする場所はありませんか?

室内を明るく保っておくだけでも事故は減らせます。

作業用の靴を見直すのも重要です。

滑りにくく蒸れにくい靴は転倒事故の防止に役立ちます。

④転倒・腰痛予防体操

加齢に伴う身体機能低下も転倒事故のリスクを高めます。

適度に運動を行うことで転倒だけでなく、介護従事者に多い「腰痛」の対策にもなります。

今回ご紹介した転倒事故防止対策は、厚生労働省のWebページでさらに具体的な方法を見ることができます。

転倒・腰痛予防体操はYouTubeで公式に動画が公開されています。

ぜひ今日からみなさんで転倒防止対策に取り組まれてはいかがでしょうか。

 


https://www.youtube.com/watch?v=9jCi6oXS8IY&feature=youtu.be

5.まとめ

今回は10月10日の転倒防止の日にちなんで、転倒が原因となる労災事故対策について解説しました。

転倒事故は労働者自身が

「自分がつい、うっかりしていただけだから」

と思い込んでいることも多く、事故の原因究明に消極的になりがちです。

ちょっとした工夫でケガをしにくい職場づくりを実現できます。ぜひ今日から皆さんで転倒防止対策をしていってくださいね。

*厚生労働省
・10月10日は「転倒予防の日」、職場での転倒予防に取り組みましょう!
・職場のあんぜんサイト STOP! 転倒防止プロジェクト

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