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【パパ育休を応援!】育児・介護休業法 改正ポイント│有期雇用労働者の取得要件も緩和

2021/10/13

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

2022年4月1日から育児・介護休業法が改正されます。

改正に伴い、男性の育児休業がより取得しやすくなる見通しです。

育児休業は本来、男女を問わず取得することができます。

ところが女性以外は育児休業を取得できないと誤解していたり、育児は母親に任せればいいと考えていたりする事業主が多く、男性の育児休業取得率は非常に低いままでした。

厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」によれば、2019年の男性の育児休業取得率は7.48%です。

それだけではなく、育児休業を取得した男性労働者に対する嫌がらせ「パタニティーハラスメント(パタハラ)」が行われている実態もありました。

2020年10月に厚生労働省が行った調査では、男性労働者の4人に1人がパタハラ被害を受けていたことが明らかになっています。

こういった事態を政府も重く見ているようで、2022年4月1日から段階的に育児・介護休業法の改正が行われることとなりました。

女性の産後休業制度に相当する「産後パパ育休制度」が新設されるほか、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件も緩和されます。

1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

事業主が育児休業を取りやすい職場環境の整備、個別に育児休業制度の周知・取得の意思確認を行うことが義務付けられます。

(1-1, 1-2 いずれも産後パパ育休に関しては2022年10月1日から対象)

1-1. 育児休業・産後パパ育休を取得しやすい雇用環境の整備

育児休業と『産後パパ育休』の申出が円滑に行われるように、事業主には以下の措置を講じなければなりません。

(産後パパ育休に関しては後述します)

  • ①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  • ②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
  • ③育児休業・産後パパ育児休業取得事例の収集・提供
  • ④育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

1-2. 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別周知・意向確認

労働者から本人もしくは配偶者の妊娠・出産の報告を受けた場合、事業主は育児休業制度に関する周知と休業取得の意向確認を個別に行わなければなりません。

周知しなければならない情報と、個別周知・意向確認の方法は以下のとおりです。

周知しなければならない情報

  • ①育児休業・産後パパ育休に関する制度
  • ②育児休業・産後パパ育休の申し出先
  • ③育児休業給付に関すること
  • ④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

個別周知・意向確認の方法

  • ①面談
  • ②書面交付
  • ③FAX
  • ④電子メール等

当然ですが、休業の取得を控えさせるような形での周知・意向確認は認められません。

2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

契約社員やパートタイマー、アルバイトなどの有期雇用労働者も育児休業を取りやすくなりました。

現行制度と改正後の制度を比較してみましょう。

2-1.現行の育児休業取得要件【有期雇用労働者】

  • ①引き続き雇用された期間が1年以上
  • ②子が1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

2-2.2022年4月1日以降の育児休業取得要件【有期雇用労働者】

①の要件を撤廃。

②の条件のみクリアすれば育児休業を取得できます。

新しい育児休業取得要件に適合するよう、就業規則の見直しは必ず行いましょう。

3.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

労働基準法により、産後8週間を経過しない女性を就業させることが禁止されています。

この産後8週間の休業を「産後休業」といいます。

もともとは産後の母体保護を目的とした休業なので、男性にはこの期間の休業が認められていませんでした。

しかしながら2022年10月1日より「産後パパ育休」の制度が新設され、男性も子の出生後8週間以内に4週間までの休業を取得できることになりました。

この産後パパ育休は、育児休業とは別に取得することができ、2回に分割して取得することも可能です。

休業中の就業については、労使協定を締結している場合に限り一部認められます。

4.育児休業の分割取得・育児休業開始日の柔軟化

現行制度では、育児休業の分割取得は原則として認められませんでした。

2022年10月1日からは育児休業の分割取得も可能となり、2回まで取得できるようになります。

1歳以降の延長方法についても改正されます。

育児休業を延長にする場合、育休開始日は子が1歳、1歳半の時点に限定されていました。

改正後は育児休業開始日が柔軟化されます。

例えば1歳から1歳3か月まではお父さん、そのあとの1歳6か月まではお母さんが育休取得という方法も可能になります。

5.育児休業取得状況の公表の義務化

従業員1,000人越えの企業に対し、育児休業等の取得状況を年に1回公表することが義務付けられます。

公表内容は男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」が予定されています。

詳細は省令で今後定められる予定です。

6.育児・介護休業法 改正のまとめ(2022年4月1日~)

2022年4月1日以降の育児・介護休業法の改正について解説しました。

改正の目的は主に男性の育児休業取得率向上でしょう。

法改正に合わせて就業規則の育児・介護休業規程の見直しは忘れずに行いましょう。

社会保険労務士法人GOALでは、働きやすい職場づくりを実現する【就業規則】作成のご相談も承っております。

今回の記事を読んで

  • 現行の就業規則が育児・介護休業法の改正に対応できているか不安だ
  • 育児介護休業規程をまだ整備できていない
  • 男性社員が育児休業を取得する場合、就業規則にどのようなルールを定めたらいいかわからない

などなど、心配になってしまった方は一度お問い合わせください。

*介護LABO
・職員が妊娠・出産したときの手続き<給付金・社会保険料免除>

*厚生労働省
・育児・介護休業法が改正されました ~令和4年4月1日から段階的に施行~
・育MEN(イクメン)プロジェクト

*日本経済新聞
・男性の育休に嫌がらせ、4人に1人が被害経験 厚労省調査

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