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雇用保険料の引き上げ検討 雇用調整助成金の支給額増大のため

2021/8/2

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

厚生労働省が雇用保険料引き上げの検討に入ることが判明しました。

引き上げの原因は、新型コロナウイルス流行に伴い雇用調整助成金の申請件数が急増し、財源が逼迫したためとみられています。

┃雇用保険料とは

雇用保険は、失業したときや育児や介護などで雇用の継続が難しいときに必要な給付を行います。

仕事を辞めた後に支給される「基本手当」が一番有名な制度かもしれません。

育児休業・介護休業を取得した被保険者に支給される「育児休業給付金」「介護休業給付金」も雇用保険上の制度です。

また、雇用安定に努めた事業主に対して助成金の支給も行っています。

これらの財源となるのが雇用保険料です。

┃雇用保険料の計算方法

雇用保険は、毎月支払われる給与に雇用保険料率をかけて算出します。

雇用保険料率は業種によって異なります。

令和3(2021)年4月1日~令和4(2022)年3月31日までの雇用保険料率は以下のとおりです。

〇一般の事業
労働者負担 1000分の3
事業主負担 1000分の6
合計 1000分の9

〇農林水産・清酒製造の事業
労働者負担 1000分の4
事業主負担 1000分の7
合計 1000分の11

〇建設の事業
労働者負担 1000分の4
事業主負担 1000分の8
合計 1000分の12

┃新型コロナが雇用保険料引き上げの要因に

雇用保険料引き上げの理由として、財源逼迫が挙げられています。

新型コロナウイルスの影響で、近年「雇用調整助成金」の申請件数が急増しました。

雇用調整助成金は本来、景気の急激な悪化により雇用の継続が困難な場合に、雇用の維持に努めた事業主に支給される助成金です。

政府はコロナ禍以来、雇用調整助成金の申請要件を少しずつ緩和させ、新型コロナウイルス流行のため経済状況が悪化した事業主も申請可能としました。

そして雇用調整助成金の申請件数はここ1年前後で急増し、支給決定額は4兆円を超えました。

先ほど説明したように、助成金の財源も雇用保険料です。

雇用調整助成金の申請件数が増大したために財源の消費も大きくなり、今回の雇用保険料引き上げの検討に至りました。

┃雇用保険料引き上げの見通しは

雇用保険引き上げの検討が判明したのは、今年7月28日です。

厚労相の諮問機関である労働政策審議会で、具体的な保険料率が議論される予定です。

早ければ来年の通常国会で雇用保険法改正法案が提出されます。

一方で雇用保険料の引き上げではなく税金を投入すべきとの声もあり、今後の動向を追っていきたいところです。

*厚生労働省
・雇用保険料率について
・雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

*Yahoo! ニュース
・雇用保険料引き上げ検討、厚労省 財源逼迫、雇調金支給4兆円超え

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