• “手続き”マニュアル

【新型コロナ】ホテル療養でも労災は下りる? 医師の証明がもらえない場合は?!

2021/8/23

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

新型コロナウイルスに感染し、ホテル療養を行った場合の労災申請の方法を解説します。

ホテル療養では医師の診察や治療が行われないため、申請書類に医師の証明を書いてもらうことができません。

このような場合は、医師の証明の代わりに保健所からの通知書を使うことができます。

 

1. 労災保険給付とは

 

労災保険給付とは、労働者が業務上あるいは通勤中に病気やケガをした場合に、必要な給付を行う制度です。

 

療養の給付

病気やケガの治療を受ける場合の給付です。

原則自己負担なしで治療を受けられます。

 

休業(補償)給付

業務上・通勤中の病気やケガのために仕事を休み、給与が受けられなかった場合の給付です。

平均賃金のおよそ80%が支払われます。

 

その他には、労働者が死亡したときや障害が残ったときの年金給付などがあります。

 

2. 新型コロナと労災 具体的な取扱いについて

 

医療従事者とその他の労働者では、新型コロナに感染した場合の労災の取り扱いが異なります。

 

2-2 医療従事者:原則として労災保険給付の対象

 

医療従事者や介護従事者が感染したときは、原則として労災保険から給付が行われます。

ただし、業務外で感染したことが明らかな場合は対象外です。

 

7 労災補償

問2 医師、看護師などの医療従事者や介護従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合の取扱いはどのようになりますか。

患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

*厚生労働省
・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 

 

2-1 医療従事者等以外の労働者:業務上で感染した場合は対象となる

 

医療従事者ではない、一般の労働者が新型コロナウイルスに感染した場合はどうでしょうか。

この場合は労災保険給付の原則通りで、業務上で感染したのであれば給付対象です。

 

7 労災補償

問1 労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険給付の対象となりますか。

業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。

また、新型コロナウイルス感染症による症状が継続(遷延)し、療養や休業が必要と認められる場合にも、労災保険給付の対象となります。

*厚生労働省
・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 

3. ホテル療養と労災申請

 

労災保険の概要が理解できたところで、ホテル療養を行った場合の申請方法を考えてみましょう。

一般には病院等の医療機関で治療を受けたことを前提として、労災保険給付が行われます。

ホテル療養の場合は医療機関での治療には当たりません。

果たしてこの場合でも労災保険給付の申請は可能なのでしょうか。

 

3-1 ホテル療養では医師の証明がもらえない?!

 

症状が軽度のため、ホテル療養を行った場合の労災申請はどうすればよいでしょうか。

労災保険給付の申請書には主治医の証明欄があります。

通常なら、その病気やケガの治療を担当した主治医に書いてもらいます。

ところがホテル療養の場合、医師の証明をもらうことができません。

ホテル療養では看護師が経過観察を行うものの、医師の診察や治療は行われないためです。

 

3-2 ホテル療養の場合でも労災申請は可能!

 

厚生労働省では、医師の証明が受けられない場合の労災申請について、次のように示しています。

 

7 労災補償

問8 PCR検査で陽性でしたが、医療機関への受診はなく、保健所の指示により、自宅(ホテル)において療養を行いました。当該療養期間について、医師からの証明がなくても休業補償給付の請求はできますか。

当該療養期間について、発症から一度も医療期間を受診していない場合やPCR検査を実施したのみで診察を受けていないとの理由により、医師からの証明が得られない場合には、保健所から発行される「宿泊・自宅療養証明書」、「就業制限通知書」、「就業制限解除通知書」休業補償給付請求書に添付した上、請求してください。

*厚生労働省
・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 

まとめると、

  • 宿泊・自宅療養証明書
  • 就業制限通知書
  • 就業制限解除通知書

これらの通知書が医師の証明の代わりに使えます。

また、業務上ではなく日常生活において新型コロナウイルスに感染した場合は、健康保険上の「傷病手当金」の申請が可能です。

この場合も医師の証明の代わりに保健所の通知書を使うことができます。

保健所から発行される通知書は大切に保管しましょう。

 

4. まとめ

 

新型コロナウイルスと労災、そしてホテル療養について簡単にまとめると

  • 医療従事者・介護従事者が感染した場合は、原則として労災対象
  • それ以外の労働者でも「業務上」感染した場合は労災の申請が可能
  • ホテル療養で申請する場合は「保健所の通知書」を添付すること

上記の3点です。

残念なことに、新型コロナウイルスの感染者は急増しています。

訪問看護・訪問介護の業務は特に感染リスクが高いといえるでしょう。

社会保険労務士法人GOALでは介護・障害福祉施設の開設だけではなく、その後の労務相談も対応しています。

  • 新型コロナウイルスに備えて労務管理を見直したい
  • 感染者が出てしまった場合の公的給付について知りたい

そんなあなたからのお問い合わせをお待ちしています。

 

*介護・障害福祉サービス運営LABO

・労災発生時の手続きと補償内容

 

*厚生労働省

・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

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