• “手続き”マニュアル

訪問看護事業の『指定申請』とは? (開業・立ち上げの手続き)

2021/4/12

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

訪問看護事業は、施設を作って人を雇えばすぐ始められるものではありません。

訪問看護事業を立ち上げるには『指定申請』という手続きが不可欠です。

この記事では指定申請の基本的な流れと、事前にチェックしておきたいポイントを解説します。

┃指定申請とは?

介護保険法に基づく訪問看護事業を立ち上げるには、開業予定地の都道府県等から指定を受けなくてはなりません。

指定には人員、設備および運営に関する基準があり、これから立ち上げる訪問看護事業がそれらの基準を満たしているかどうかが審査されます。

この手続きを『指定申請』といいます。

┃指定の要件(基準)にはどのようなものがある?

指定を受けるには、開業予定地の都道府県・政令市等で定められた基準をクリアする必要があります。

例えば次のような基準があります。

・申請者は法人(株式会社等)かどうか

・法人の定款に訪問看護事業に関する記載があるか

・看護職員(保健師、看護師又は準看護師)を常勤換算で2.5人配置しているか

・感染症予防対策のための設備は揃っているか

指定基準は全国で統一の基準が定められているわけではなく、地域ごとに様々なローカルルールがあります。

国で定めた基準よりもさらに厳格な基準を設けている地域も存在します。

「隣の地域ではこういう指定基準だったから」と安心するのは禁物です。

開業予定地が決まったら、必ずその地域の指定基準を確実に調べておきましょう。

┃指定基準の調べ方は?

指定基準の調べ方は大まかに3通りあります。

①一般の書籍で調べる

指定基準について解説している書籍は「介護保険六法」や「介護報酬の解釈(指定基準編)」などがあります。

②開業予定地のWebサイト等で調べる

「(開業予定地) 訪問看護 新規指定申請」等のキーワードで検索すると、開業予定地の指定申請に関するページにアクセスできます。

③厚生労働省「介護サービス関係Q&A」で調べる

厚生労働省Webサイトに「介護サービス関係Q&A」というコンテンツがあります。

訪問看護も含めた介護サービス関係全般のQ&A集を閲覧することができます。

┃指定基準の調べ方で注意すること

指定基準の調べ方を大きく3種類説明しましたが、このうちどれか一つを調べただけでは不十分です。

例えば、書籍では開業予定地のローカルルールまでは調べられません。

開業予定地のWebサイトでは、介護保険関係法令の詳細までは書いていないことが多いです。

「介護サービスQ&A」とは異なる独自のQ&A集を作成している地域もあります。

指定基準を確実にクリアするには、3つの情報源をバランスよく活用するのが重要だと思います。

┃指定申請の流れ

地域によって指定申請の流れは異なりますが、ここでは神奈川県川崎市の例を挙げて説明します。

①指定基準を確認する

人員、設備、運営に関する基準を満たしているか確認しましょう。

人員基準をクリアするには、指定申請の時点で看護職員を常勤換算で2.5人以上雇用している必要があります。

つまり、社会保険や雇用保険の手続きも指定申請を行う前に済ませておかなければなりません。

*介護・障害福祉サービス運営LABO
・指定申請の前に「労働保険・社会保険」の手続きを

②指定申請書類を作る

川崎市では市のWebページ上で指定申請書類を配布しています。

指定申請書類と一緒に提出する添付書類も忘れずに準備しましょう。

③新規セミナーを受講する

年に2回程度開催される「新規セミナー」では、指定基準等の基本的な内容を説明しています。

初めて訪問看護事業所を立ち上げる場合は忘れずに受講するようにしましょう。

すでに開設経験があるなど、指定基準を熟知している事業者の参加は任意です。

④申請の予約をする

川崎市では申請の受付は完全予約制となっており、指定予定日の2か月前から予約受付が開始されます。

予約受付期間は市のWebページで確認しましょう。

予約受付期間を1日でも過ぎてしまうと予約を受け付けてもらえません。

開業スケジュールに大きく影響してしまうので、期日厳守で予約しましょう。

⑤申請

指定申請書類と添付書類を指定の窓口に提出し、審査を対面で行います。

審査時間は約2時間ほどですが、不備が多いと時間内に審査が終わらず、申請を受け付けてもらえないことがあります。

事前に内容確認を行い書類は正しくそろえておきましょう。

⑥指定・公示

指定の日は毎月1日です。

順調に審査に通り、審査手数料を納付していれば、受理翌月の1日に川崎市から指定されます。

指定を受けた事業所は、市の広報や神奈川県の介護情報サイト「介護情報サービスかながわ」に事業所情報が公開されます。

ここでは神奈川県川崎市での指定申請の例を挙げましたが、実際は前に述べたように、開業予定地によって異なるローカルルールがあります。

開業する場所が決まったら、その地域ではどのようなローカルルールに基づいて指定申請を行っているか十分調べておきましょう。

*厚生労働省
・介護サービス関係Q&A

*川崎市Webサイト
・訪問看護

*介護情報サービスかながわ

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