- “手続き”マニュアル
訪問介護事業所 開業準備から指定申請までの手順
2021/8/16
2023/11/25
高齢者が住み慣れた自宅でできるだけ自立した生活を出来るようサポートする。
それが訪問介護事業所の役割です。
高齢化に伴いニーズが高まっている分野であり、これから訪問介護事業所の立ち上げを検討している方も多いでしょう。
今回はそういった方のために、訪問介護事業所を開業させるまでの手順を解説します。
Contents
訪問介護事業所でできること
1. 訪問介護とは
訪問介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問するサービスです。
主なサービス内容
身体介護
食事・排泄・入浴などの介護
生活援助
掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援
その他
通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス
医療行為にあたらないもの
どのようなサービスを行うかは、その方の要介護状態によって異なります。
ケアマネージャーやサービス提供責任者と利用者や家族の間で相談し、サービス内容を具体的に決めていきます。
2. 訪問看護との違い
近いサービスとして「訪問看護」があります。
こちらも利用者の自宅に訪問する点は同じですが、サービス内容に決定的な差があります。
それは「医療的ケア」です。
訪問看護では、看護師が医師の指導のもと、服薬管理や褥瘡(床ずれ)の処置といった医療的ケアを行います。
一方で、訪問介護サービスの内容である「生活援助」を行うことは出来ません。
訪問介護と訪問看護、それぞれにできること・できないことがあるので、サービス内容をよく見極めておきましょう。
開設までの手順
訪問介護事業所の開業資格を得るための手続きを「指定申請」と言います。
指定申請の事前準備から開設までの流れを解説します。
1 基本事項の決定
介護事業所に関する、いわば基本的なプロフィールを決めていきます。
- 訪問介護事業所の名称
- 営業時間、サービス提供時間
- 営業開始日の設定
営業予定日は先のスケジュールを見据えて設定しましょう。
指定申請の予約が取れなかった、あるいはいい人材に巡り合えなかった…などの理由で、予定通りに営業が開始できないケースがあるからです。
2 会社設立または事業目的の変更
訪問介護事業所を立ち上げるには法人格が必要です。
法人格は株式会社、NPO法人、合同会社と種類を問いませんが、設立完了までの期間や費用が異なるため、開設スケジュールをふまえて検討しましょう。
既に法人を設立している場合は定款等の目的を変更し、訪問介護事業を行う旨を定めます。
3 事務所の準備
開業予定地の指定基準を調べ、事業所にふさわしい物件を探しておきましょう。
注意したいのが物件を借りるときの名義と使用目的です。
名義は法人の名前で、使用目的は『事務所』で賃貸借契約を締結する必要があります。
4 人員確保
常勤換算で2.5人以上の訪問介護員を配置する必要があります。
(常勤換算=従業者の勤務延べ時間数÷常勤従事者の勤務時間数)
訪問介護員となれるのは、次の資格を持った人たちです。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 初任者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修過程修了者
- 旧ホームヘルパー1級課程修了者
- 旧ホームヘルパー2級課程修了者
- 看護師・准看護師
5 備品の用意
設備基準をチェックし、必要な備品を揃えましょう。
- 事務スペース
- 相談スペース
- 手洗い場
- 電話機・FAX、
- パソコン・プリンター
- 鍵がかかる書棚・書庫
- 机・椅子
- 手洗い用石けん・消毒液
…etc.
6 申請書類の準備
申請書類は開業予定地の行政Webサイトで発行されています。
神奈川県なら「介護情報サービスかながわ」というサイトでダウンロード可能です。
*介護情報サービスかながわ
指定申請の予約を入れ、期日までにもれなく完成させましょう。
7 申請書類の提出
指定申請は対面で書面審査が行われます。
修正の指示があったり、資料の追加提出を求められたりすることもあります。
そのような場合は補正期日までに修正と追加資料を提出しましょう。
審査の結果、指定基準を無事満たしていると認められれば、行政から指定通知が発行されます。