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介護職員が辞めてしまう理由とは? 2020年度調査より

2021/3/22

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

医療・介護領域における人材紹介・派遣サービス大手のTSグループから、介護職の離職に関する実態調査の結果が公表されました。

介護の仕事は体力的につらく、仕事に魅力を感じてもらえないのが離職の原因と考える人が多いかもしれません。

しかし今回の調査では一般の認識とは違った結果が得られたようです。

調査結果概要

調査期間:2020年7月15日〜7月16日
調査対象:介護職を離職した経験がある10代から60代以上の男女322人
調査方法:インターネット調査

介護職は「好き」なのに辞めた人が多い

〇介護の仕事が【とても好き】だったがやめた・・・32.3%
〇介護の仕事が【どちらかというと好き】だったがやめた・・・35.1%

合わせて約7割(67.4%)もの人が、介護の仕事は好きであるにも関わらず離職していることがわかりました。

「介護の仕事はつらいから」「介護職に魅力を感じられないから」辞めた、という人はどちらかといえば少数のようです。

主な離職理由は「働きにくさ」

続いて介護の仕事を辞めた理由を見てみましょう。

〇職場の人間関係に苦労したから・・・46.6%
〇給与など待遇が悪いから・・・41.0%
〇自分の介護技術が追いつかず、力不足を感じたから・・・29.2%

「介護業界は特殊だから」という理由で、職場環境や給与体系の改善に消極的な事業所が少なくありません。

そのせいで介護職自体には魅力を感じているものの、職場環境の悪さを理由に離職してしまう人が多いと考えられます。

資格と経験を兼ね備えた人に長く働いてもらうためにも、働きやすい職場づくりを行っていかなくてはなりません。

また、「処遇改善加算を取るためのキャリアパス」になってしまい、本当の意味でのキャリアアップが見込めない状態になっている事業所では、職員が「力不足」を感じやすいといえます。

半数以上が介護職に復職

介護職に復職したいか、という質問へは

〇すでに復職している・・・32.6%
〇復職予定がある・・・19.6%

と回答が得られ、離職経験者の約半数(52.2%)が介護職へ復職、あるいは復職予定と判明しました。

復職を決めた理由を見てみましょう。

〇資格、技能が活かせるから・・・41.8%
〇達成感ややりがいを感じられるから・・・41.4%
〇他の仕事に比べて自分に合っていると感じたから・・・40.1%

介護の仕事内容自体に魅力を感じている声が多いようです。

介護の仕事が「好き」であるにも関わらず辞めてしまった人が多いのと合わせて、実際は介護職に魅力を感じる人が少なくないことがわかります。

仕事に魅力を感じているにもかかわらず定着しないということは、仕事内容ではなく労働環境の方に原因があると考えられます。

繰り返しになりますが、「介護の業界は特殊だから」と適切な労務管理をしていない事業所では、いくら介護の仕事が好きな人でも長くは働けなくなります。

コロナ対策も大きな課題

既に復職している離職経験者に対して、新型コロナウイルス感染症対策として求めていることを聞いたアンケート結果です。

〇マスクなど医療用品の安定供給・・・70.5%
〇慰労金の追加支給など経済的支援・・・55.2%
〇人材支援・・・52.4%
〇他業種からの理解・・・50.5%

業務を安全に続けるうえで医療用品や経済的な支援はとても重要ですが、「他業種からの理解」はそれ以上に解決が難しい課題かもしれません。

新型コロナウイルス感染症の拡大を理由に、介護事業所が嫌がらせを受けたニュースを目にした方も多いと思います。

事業所や職員本人が感染症対策に力を入れていても、心無い部外者からいわれない中傷を受ける場合があります。

職員が精神的に追い詰められてしまった場合、事業所としてどうフォローしていくかも考えていかなくてはなりません。

アンケート結果からわかること

以上のアンケート結果を見てみると、介護の仕事を辞めてしまったのは「仕事がきつい」といった単純な理由ではないことがわかります。

むしろ介護の仕事に魅力を感じている人は多く、働きやすい職場づくりを行っていくことが一番のポイントといえるでしょう。

*PR TIMES
・介護職の離職に関する実態調査2020

*介護・障害福祉サービス運営LABO

・医療、介護、福祉業界の離職防止と労務管理

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