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【訪問看護事業の物件選び】ワンルームマンションでの開業で成功させるためのポイント

2024/9/30

2024/09/30

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

訪問看護ステーションの開設にあたっては、物件選びやコスト管理が事業成功の大きなカギとなります。特にワンルーム物件での開業は、低コストでのスタートが可能なため、少人数での事業開始や限られた予算で事業を始めたい方にとって魅力的です。しかし、物件の選定や法的要件をクリアするためには、しっかりとした準備が必要です。

今回は、訪問看護ステーション開設時の物件選びとワンルームマンションでの開業で成功させるためのポイントについて解説します。

┃訪問看護事業と訪問看護ステーション

訪問看護とは、病気や障害を持った人が住み慣れた地域で、自分の生活スタイルに合った療養生活を送れるように、医療系有資格者(看護師など)が利用者の居宅を訪問するサービスで、在宅医療の一つに区分されます。利用できるのは高齢者だけに限られず、乳幼児から高齢者まで、訪問看護が必要な状態の人であればサービスを受けることができます。

訪問看護を行うのは、一つは「病院や診療所等、健康保険法上の保険医療機関が行う訪問看護」、もう一つは「行政から指定を受けた株式会社などの民間企業(法人)が運営する訪問看護ステーション」です。

この記事では主に訪問看護ステーションを開設するときを想定してお伝えします。

→訪問看護ステーション開設の基礎知識について詳しくはこちら

┃訪問看護ステーションの開設と物件選び

○ワンルームマンションなら低コストでの開業できる

ワンルーム物件は、オフィスや専用施設に比べて家賃が安いため、初期費用を抑えやすいです。訪問看護はスタッフが利用者の自宅に出向くため、事務所としての広いスペースを必要としないことも利点です。少ないスペースでも効率的に事業運営が可能です。

○ワンルームマンションなら小規模事業者に適している

訪問看護は、業務の性質上、スタッフが利用者宅を訪問するため、常に広い事務所を必要としません。したがって、少人数のスタッフでスタートする場合、ワンルーム物件は理想的です。運営の柔軟性が高く、コストを抑えることができます。

○訪問看護事業の設備基準

ワンルーム物件でも、訪問看護事業には必要な設備を整えることが重要です。たとえば、医療機器の保管場所や書類の管理スペースなどが挙げられます。また、スタッフが業務を遂行するのに十分なデスクや作業エリアを確保することも忘れてはいけません。利用者のプライバシー保護や衛生環境の整備も、設備基準の一環として重視されます。

第四条 指定訪問看護ステーションには、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。ただし、当該指定訪問看護ステーションが他の事業の事業所を兼ねる場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けることで足りるものとする。

*引用:厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」

→訪問看護ステーション設備基準についてはこちら

┃ワンルームマンションで開業するときの注意点

○ワンルーム物件の選定

地域によっては、ワンルーム物件で事業を運営することに制限がある場合があります。事前に、消防法や建築基準法の規定を確認し、開業が許可されているかどうかを確認することが重要です。特に、住宅用として設計された物件を商業利用する場合には、特別な手続きが必要になることがあります。

○ワンルーム物件の立地

訪問看護事業において、物件の立地はスタッフの移動効率に大きく影響します。スタッフが利用者宅に頻繁に出向くため、交通の便が良い場所を選ぶことが非常に重要です。また、訪問エリアへのアクセスが良い場所に物件を構えることで、業務の効率化が図れ、移動コストを抑えることができます。

○ワンルーム物件の広さと設備

ワンルーム物件で開業する場合、物件の広さが適切であることが必須です。スタッフが必要な事務作業を行えるスペース、医療機器や備品の保管スペース、さらには利用者が来所した際に対応できる環境が求められます。狭すぎる物件は業務効率を低下させる恐れがあるため、必要最低限のスペースを確保することが大切です。

○ワンルーム物件の法的要件と適合性

訪問看護事業を行うには、物件が法的に適合している必要があります。特に、消防法や建築基準法に適合した物件であることが求められます。地域ごとの規制や許可が必要な場合もあるため、事前に自治体などで確認しておくことが重要です。また、商業利用が許可されている物件かどうかも確認しましょう。

┃訪問看護事業の収益性と成功のためのコスト管理

○訪問看護事業と収益性のポイント

訪問看護事業の収益性は、提供するサービスの範囲や件数、保険請求の状況によって左右されます。多くの訪問件数をこなすことで収益を拡大できますが、効率的に訪問をスケジュールし、移動時間を最小限に抑えることが大切です。また、専門的なサービスやニーズに合わせた対応を行うことで、単価の高いサービス提供も可能になります。

○訪問看護事業とコスト管理

コスト管理は、訪問看護事業を成功させるために欠かせない要素です。ワンルーム物件での開業は、家賃や光熱費などの固定費を抑えられる利点がありますが、その他のコストも管理する必要があります。例えば、スタッフの給与、医療機器の購入や維持費、さらには消耗品の購入費用など、運営にかかる費用を細かく把握し、無駄を減らすことが重要です。

○業務効率化とIT活用

コストを抑えつつ収益を増やすためには、業務の効率化が鍵です。スケジュール管理や業務報告をデジタルツールで統一することで、時間を節約し、無駄な作業を削減できます。さらに、スタッフ間のコミュニケーションをスムーズに行い、業務の調整が迅速にできる環境を整えることで、全体の生産性が向上します。

┃まとめ

今回は、訪問看護ステーション開設時の物件選びとワンルームマンションでの開業で成功させるためのポイントについて解説しました。

ワンルームでの訪問看護事業の開業は、低コストでスタートできる点が大きなメリットです。しかし、成功するためには、適切な物件選び、設備基準の遵守、法的要件の確認、そしてコスト管理が重要です。物件の立地や広さの適正基準を満たし、効率的な運営を行うことで、収益性を向上させることが可能です。コストを抑えつつ、効率的な事業運営を行うための準備と工夫が、訪問看護事業の成功を左右します。

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