• “手続き”マニュアル

労災発生時の手続きと補償内容

2021/2/10

2023/11/25

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

介護のお仕事は体を使うことが多く、思わぬ事故で職員がケガをしてしまった…という可能性もあります。

いざという時に備えて、労災保険の仕組みと申請方法を確認しておきましょう。

┃業務災害と通勤災害

労災事故は「業務災害」と「通勤災害」の2種類に分けられます。

仕事中の事故によるケガや病気、障害などを「業務災害」と呼びます。

職員の自宅など、普段通勤している事業所の外で仕事をしていた時にケガをしたときであっても、業務災害と認められる場合があります。

通勤中の事故によるケガや病気、障害などは「通勤災害」と呼びます。

この場合の通勤とは、職員の自宅から事業所までの道のりを往復することを指します。

途中で寄り道をした場合などは、通勤とは認められないケースがあるので要注意です。

┃労災に健康保険証は使えない

労災事故による病気やケガに関しては、健康保険証は使えません。

この場合は病院の窓口で「労災の申請を行います」と伝えてから治療を受けてください。

「労災指定病院」で治療を受けるとその後の手続きがスムーズです。

┃労災の申請手順① 労働者私傷病報告の提出

業務災害が発生し、それが原因で職員が仕事を休んだ場合は「労働者死傷病報告」を管轄の労働基準監督署へ提出します。

業務災害が発生したときの状況を詳しく報告するための書類です。

休んだ日数が4日以上か、4日未満かで書類の形式が違っているので気をつけましょう。

職員が1日も仕事を休まなかった場合、あるいは通勤災害の場合は提出の必要はありません

┃労災の申請手順② 療養(補償)給付請求書を作成する

「療養(補償)給付請求書」は、職員の医療費の負担を無くすための書類です。

労災指定病院に通院している場合は、療養(補償)給付請求書を病院の窓口に提出すれば、職員はそのまま無料で治療を受けられます。

通院先が労災指定病院以外だった場合は、職員が一旦病院に治療費を支払います。

その後、療養(補償)給付請求書を管轄の労働基準監督署に提出し、かかった治療費を返金してもらいます。

薬局や柔道整復師(いわゆる接骨院・整骨院)でかかった費用も、療養(補償)給付請求書を提出して、労災保険から補償を受けることが可能です。

┃労災の申請手続き③ 休業(補償)給付支給請求書

労災事故によって職員が仕事を休み、その間の給与が受けられなかった場合に作成する書類です。

「休業(補償)給付支給請求書」を管轄の労働基準監督署へ提出すると、労災保険から職員に対して給付金が支払われます。

給付金を受けるには、労災事故が起きた直後から3日間連続して休業している必要があります。

この3日間を「待期期間」と呼びます。

待期期間には労災保険からの給付は行われず、4日目以降の休業日数に対して給付が行われます。

労災の申請書類は、労災事故や通院先の種類によって細かく様式が分けられています。

申請を行う場合は、業務災害用と通勤災害用の書類を間違えていないか、通院先に対して適切な様式を選べているかをしっかり確認しながら進めましょう。

*厚生労働省
・労災事故が発生したとき

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