- “手続き”マニュアル
職員が妊娠・出産したときの手続き<給付金・社会保険料免除>
2021/5/17
2023/11/25
介護職は女性が多い業種と言われます。
出産・育児関係の手続きはしっかりマスターしたいですね。
妊娠の報告を受けても慌てないように、出産や育児をサポートする制度を知っておきましょう。
Contents
┃出産一時金
対象:社会保険(健康保険)の被保険者
申請先:病院で手続きを行うのが一般的
○1児ごとに42万円が支給される
出産は病気ではないので、通常分娩なら出産費用は原則全額自己負担となります。
「出産一時金」はこの出産費用を抑えるための制度です。
生まれる子ども1人につき42万円(産科医療保障制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円)が支給されます。
○直接支払制度を利用して申請する場合
多くの医療機関等では「直接支払制度」を導入しており、病院の窓口でほぼすべての手続きを行うことができます。
- ①医療機関等にて、直接支払制度を利用する旨の合意文書を締結する
- ②実費分の出産費用-出産一時金(1児につき42万円or40.4万円)を医療機関に支払う
出産一時金の金額があらかじめ出産費用から割り引かれる、という形で支給されます。
実際にかかった出産費用が出産一時金の金額に満たないときは、「出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」を協会けんぽに提出して、差額の払い戻しを行います。
○直接支払制度を利用しない場合
直接支払制度を利用しない場合は、職員自身が管轄の協会けんぽへ「出産育児一時金支給申請書」を提出する必要があります。
期日は出産日翌日から2年以内です。
┃出産手当金
対象:産前産後休業を取得した健康保険の被保険者
申請先:協会けんぽ
○産前産後休業中の所得を保障する制度
労働基準法では出産前42日を産前休業、出産後56日を産後休業と定めています。
産『前』休業は職員から申し出に応じて与える必要がありますが、産『後』休業は申し出の有無に関わらず取得させる義務があります。
一方で、産前産後休業中に給与を支払うことまでは義務付けられていません。
そのため産前産後休業を取得し、その間に給与を受けられなかった労働者の所得保障として、「出産手当金」の制度が設けられています。
○出産予定日より出産が遅れた/早まった場合の支給額は?
出産手当金は過去12か月の標準報酬月額に基づいて支給されます。
出産手当金の支給額
過去12か月の標準報酬月額を平均した額×1/30×2/3×休業日数
ところで、出産予定日より出産が遅れた場合は産後休業の期間が伸び、反対に早まった場合は短くなります。
このような場合は出産手当金の金額に差が出るのでしょうか。
予定日よりも出産が遅れた場合は、産前産後休業の期間が延びた分支給額が増えます。
反対に早まった場合は産前産後休業期間も短くなるため、その分支給額は少なくなります。
┃育児休業給付金
対象:育児休業中の雇用保険の被保険者
申請先:ハローワーク
○育児休業中の所得を保障する制度
「育児休業給付金」は育児休業を取得し、賃金の支払いを受けなかった労働者に対して支払われます。
支給期間は、育児休業開始した日から子の1歳の誕生日の前々日までです。
保育園に入れないなどやむをえない事情があるときは、2歳の誕生日の前々日まで延長できます。
アルバイト・パートタイマーなどの非常勤職員であっても一定の条件を満たせば申請できます。
- ①申出時点で過去1年以上継続し雇用されていること
- ②子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
○育児休業給付金の支給額は?
育児休業給付金の給付額は、以下の計算式で算出します。
休業開始時賃金日額×支給日数(※3)×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)
(例1)平均して月額15万円程度の場合
育児休業開始から6か月間の支給額:月額10万円程度
6か月経過後の支給額:月額7,5万円程度(例2)平均して月額20万円程度の場合
育児休業開始から6か月間の支給額:月額13,4万円程度
6か月経過後の支給額:月額10万円程度(例3)平均して月額30万円程度の場合
育児休業開始から6か月間の支給額:月額20,1万円程度
6か月経過後の支給額:月額15万円程度
┃産休・育休中の社会保険料を免除する手続き
対象:社会保険の被保険者
申請先:年金事務所
産前産後休業中、あるいは育児休業中の社会保険料を免除することができます。
免除を行うには、年金事務所に「産前産後休業取得者申出書」、「育児休業等取得者申出書」を提出します。
最長で子が3歳になるまで社会保険料が免除されます。
┃妊娠・出産を理由に退職を促すのは法律違反
「寿退社」が一般的だった時代の感覚で、良かれと思って妊娠した職員に退職を促してしまうケースが存在します。
現在はそういった扱いは「マタニティ・ハラスメント」として、法的責任を問われる可能性があります。
出産や育児に対する支援制度を上手に使い、育児と仕事の両立が出来る職場づくりをしていきましょう。
*全国健康保険協会(協会けんぽ)
・出産に関する給付
*厚生労働省
・育児・介護休業法について
・Q&A ~育児休業給付~
*日本年金機構
・厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)