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【訪問介護事業所の開業手続き】指定申請をスムーズに進めるための写真の撮り方

2025/3/31

2025/03/31

この記事の監修

社会保険労務士法人GOAL
代表 社会保険労務士

久保田 慎平(くぼたしんぺい)

1983年8月横浜生まれ、横浜育ち。2011年4月に都内の社会保険労務士事務所へ入職、4年間の実務経験後、2015年4月独立開業。その後、2018年9月に行政書士法人GOALと合流し、社会保険労務士法人GOALを設立。東京・神奈川の中小企業を中心に採用定着支援やテレワーク導入支援、労務トラブル防止、社内研修による人材育成に力を入れている。就業規則の実績200件以上、商工会議所等のセミナー講師実績多数。

訪問介護事業所を新たに開設しようとしている方にとって、最初のハードルになるのが「指定申請」です。その中でも、意外と見落とされがちなのが「事業所の写真撮影」です。

「写真ってどこを撮ればいいの?」「写っていればそれでいいの?」

指定申請の支援をする中でこういった相談は少なくありません。この記事では、訪問介護事業所の指定申請における写真撮影のポイントをわかりやすく解説いたします。

行政が求めている「事業所の写真」とはどのようなものか、よくあるミスや、スムーズに申請を進めるためのコツもあわせてご紹介します。

なぜ事業所の写真が必要なのか?

指定申請の際、提出する書類の中には「事業所の設備や運営体制を示すための写真」が含まれています。これは、行政が「この場所で本当に訪問介護事業が行えるのか」を判断するために必要な資料です。

写真によって確認されるのは、以下のようなポイントです。

  • 実際に事務所が存在しているか
  • 業務が行える環境(設備・スペース)が整っているか
  • 他事業との兼用でないか(または明確に区分されているか)
  • 法令で求められる設備があるか(消防法や建築基準法に適合しているか)

つまり、写真は証拠資料としての役割を持っており、単なるスナップ写真では不十分なのです。

→訪問介護事業所の開業手順について詳しくはこちら

撮影が必要な場所とその理由

以下に、申請時に必ず撮影が必要となる場所とその理由を示します。

玄関・外観

  • 理由:建物の所在や事業所の場所を証明するため
  • ポイント:建物の全体像と、表札や看板(あれば)を含めて撮影します

執務スペース(事務机・椅子・パソコン・複合機など)

  • 理由:実際にスタッフが業務を行う場所を確認するため
  • ポイント:机の数、パソコン、電話などが映るように撮影します

鍵付き書庫(帳票類の保管スペース)

  • 理由:記録の管理体制が整っているかを確認するため
  • ポイント:鍵穴に鍵を指した状態で撮影する等、施錠できることがわかるようにします

相談スペース

  • 理由:来客や相談対応のためのスペースが確保されているか確認するため
  • ポイント:プライバシーに配慮された空間であることを示します

設備(コピー機、複合機など)

  • 理由:業務遂行に必要な備品が整っているか確認するため
  • ポイント:設備全体が分かるように撮影します

写真撮影の注意点とNG例

写真は「ただ撮るだけ」では不十分です。以下のような不備や指摘されやすい例に注意しましょう。

よくあるNG例

  • 写真が暗い、ピンボケしている
  • 他事業との併設が曖昧になっている
  • 必要な機器や設備が映っていない
  • 空の机や何も置かれていない棚のみの写真
  • スペースが極端に狭く、要件を満たしていない

良い写真のポイント

  • 広さや配置、用途が一目で分かるように撮影する
  • 撮影時は明るい時間帯を選ぶ
  • 水平を保ち、全体が見えるように撮影する
  • スマートフォンでも対応可能だが、鮮明さを意識する

指定申請書類とセットで提出する写真の整理方法

写真は単体で提出するのではなく、申請書類(平面図)とセットで提出することになりますので、整理方法にも工夫が必要です。

写真の整理と提出時のポイント

指定申請をスムーズに進めるために必要な写真の整理方法にはいくつかのポイントがあります。

平面図に撮影場所や撮影方向を記入する

指定申請では、事業所の間取りを記した平面図も提出します。平面図には設備・備品の位置を記載するとともに、写真を撮影した向きも矢印などで示しておく必要があります。

写真にはあらかじめ番号を振り、平面図に撮影場所の番号と矢印を記載して、お互いの位置関係が正しく合うようにしましょう。

ファイル名・順番を工夫する

例えば「01_外観」、「02_執務スペース」など、番号と説明を付けて整理すると分かりやすくなります。

写真に簡単な説明文を添える

「〇〇用の机です」「帳票棚です」など、見る人にとって明確になるよう記載します。

申請書類は基本的には行政機関の窓口へ提出を行いますが、審査をするのは目の前の担当者だけとは限らず別の担当者へ回覧されることもあります。

そのときにスムーズに審査を進めてもらうためには「後から別の人がみてもわかる工夫」が必要です。

写真貼付シートがある場合

自治体によっては専用の貼付様式が用意されている場合があるため、事前に確認しておきましょう

不安な場合は専門家に相談を

写真撮影といっても、「何が正解かわからない」「自治体によって求められる内容が違う」といった不安を抱える方も多くいます。実際、写真の不備によって再提出を求められるケースも少なくありません。

こうしたリスクを避けるためにも、介護事業所の指定申請に精通した専門家へ相談することをおすすめします。

不安な場合は多めに撮影しておく

実際に写真を提出してみると、十分わかりやすく撮影できたと思っていたのに「もう少し詳細な写真が欲しい」と追加提出を求められるケースがあります。

何度も写真を撮り直したり、再提出を求められて指定申請スケジュールに遅れが生じたりすることを避けるためにもあらかじめ多めに写真を用意しておくとよいでしょう。

まとめ

訪問介護事業所の指定申請における写真撮影は、手続きがスムーズに進むかどうかに関わってきます。

あまり深く考えずに何気なく撮影した写真を提出してしまうと再提出を求められて指定申請スケジュールに遅れが生じてしまうこともあり得ます。

指定申請時の提出写真は資料として重要な役割を担っていること、撮影が必要な場所とその理由を理解しておくこと、撮影時の注意点や整理方法を確認しておくこと、これらを理解して事業所開設がスムーズに進行するよう準備を進めましょう。

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