出張と労働時間管理

従業員に出張を命じる場合、出張先が遠方になると移動時間も含めて普段よりも拘束時間が長くなります。

どの時点からどの時点までを労働時間としてカウントするべきかの判断は、とても重要です。

目次

┃出張の定義

出張の定義は、事業主ごとに出張旅費規程等で定めることになります。

会社によっては、「通常の勤務地から半径○km以上の遠隔地に赴く場合」等と規定しているケースもあります。

┃出張と労働時間管理

出張に伴う労働時間管理で一番の課題となるのが移動時間です。

通常の勤務地へ出勤する場合よりも移動時間が長く拘束時間が長くなることが考えられるため、「移動時間は労働時間になるのか」と従業員から質問されることもあります。

移動時間が労働時間となるかどうかは、ケースバイケースです。

○出張に伴う移動時間が業務になるケース
・会社の貴重品などを運搬している
・上司が同行して業務の指揮命令を受けている
・移動時間中に業務を行うよう指示を受けている

このような場合には、労働時間となり賃金を支払う義務が発生すると考えられます。

具体的には、移動時間中に業務日報や報告書を作成するように指示をした場合には、労働時間になると考えられます。

○出張に伴う移動時間が業務にならない場合
・移動時間中の行動が自由な場合

例え、上司が同行していたとしても特段業務の指示を受けておらず、行動が制約されていなければ労働時間にはならず、賃金を支払う義務は発生しません。

┃出張日当の役割

以上の通り、出張に伴う移動時間は労働時間とはならず、賃金が発生しないケースもあります。

それでも拘束時間が長くなるのは事実です。

そのような身体的・精神的負荷への補償の意味もあって支給するのが出張日当であると言えます。

出張が一定数見込まれるのであれば、出張旅費規程を整備するなどの対応も必要になるでしょう。

この記事を書いた人

社会保険労務士法人GOALの代表。中小企業を中心に人事労務管理・就業規則の作成・助成金の申請サポートに対応しています。

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