【社会保険・雇用保険手続き】社員の住所・氏名に変更があったときについて解説

社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険の資格取得手続きをするとき、住所や氏名、生年月日など様々な個人情報を行政機関へ登録します。

これら、年金事務所やハローワーク(公共職業安定所)に登録される情報は、常に最新の情報に保っておく必要があり、転居や結婚などによって変更が発生した場合には変更届の提出が必要です。

これまでは、社員の個人情報に変更が生じた都度、会社が変更届を提出し手続きを行っていましたが、マイナンバー(個人番号)制度の導入により社会保険手続きの簡素化が行われ一部の手続きが省略されることになりました。

今回は、社会保険・雇用保険の住所・氏名変更等の手続きについて解説します。

目次

┃社員の住所・氏名を届け出る理由とは

会社は、社員が入社して社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険に加入させる際には、各被保険者資格取得届に住所や氏名、生年月日、資格取得日、マイナンバー(個人番号)、基礎年金番号、雇用保険被保険者番号などを記載して届け出を行います。

これらの個人情報を正しく記載して届け出ることによって個人が特定され、転職や復職をしても過去の加入履歴を引き継ぐことができ、その保険の加入期間や納付した保険料に応じた保険給付を受けることができます。

┃社員が住所変更したときの手続き

○マイナンバー(個人番号)制度により手続きが簡素化(省略)される

マイナンバー制度導入前は、住所変更が発生したときは年金事務所へ、氏名変更が発生したときは年金事務所とハローワーク(公共職業安定所)へ、それぞれ変更届の提出が必要でした。

現在は、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけが行われており基本的には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」の提出は不要です。

○社員の住所変更手続きが必要な場合

原則として、社会保険被保険者の住所変更手続きは不要です。例外として、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者が住所変更を行う場合には届出が必要です。具体的には次のような人です。

  • ・マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者(マイナンバー未収集者)
  • ・マイナンバーを有していない海外居住者
  • ・短期在留外国人

○社員の住所変更手続きの方法と添付書類

社会保険被保険者である社員が転居などにより住所変更手続きが必要になった場合には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」に必要な情報を記載して届け出を行います。マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者でも健康保険のみに加入している人、海外居住者、短期在留外国人の住所の変更、)住民票住所以外の居所を登録する場合には、届出が必要です。添付書類は特に必要ありません。

*日本年金機構「被保険者の住所に変更があったとき」

┃社員が氏名変更したときの手続き

○マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば省略できる

住所変更手続きと同様に現在は、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけが行われているため基本的には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届」の提出は不要です。

○社員の氏名変更手続きが必要な場合

原則として、社会保険被保険者の氏名変更手続きは不要になりました。ただし、次のいずれかに該当する社員の氏名変更または訂正を行うときは、手続きが必要です。

  • ・マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方
  • ・健康保険(全国健康保険協会管掌)のみに加入している方
  • →(イナンバーと基礎年金番号が結びついている人でも手続きが必要
  • ・マイナンバーを有していない海外居住者
  • ・短期在留外国人

○社員の氏名変更手続きの方法と添付書類

社会保険被保険者である社員が結婚などにより氏名変更手続きが必要になった場合には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届」に必要な情報を記載して届け出を行います。協会けんぽ(全国健康保険協会)の被保険者が氏名変更を届け出る場合には、次の添付書類が必要です。

  • ・健康保険被保険者証
  • (交付されている場合)
  • ・高齢受給者証
  • ・健康保険特定疾病療養受領証
  • ・健康保険限度額適用認定証
  • ・健康保険限度額適用
  • ・標準負担額認定証
  • (被扶養者有の場合)
  • ・被扶養者の健康保険被保険者証

*日本年金機構「被保険者の氏名に変更があったとき」

┃社員の住所・氏名に変更があったときのハローワークへの手続き

○ハローワークへの氏名変更手続きは廃止

ハローワーク(公共職業安定所)への氏名変更手続きは、2020(令和2)年1月に廃止さたため、「雇用保険被保険者氏名変更届」を単独で提出する必要はありませんが、以下の申請時に併せて届け出を行います(氏名変更記載欄はそれぞれの申請書にあります)。

  • ・雇用保険被保険者資格喪失届
  • ・雇用継続交流採用終了届
  • ・雇用保険被保険者転勤届
  • ・個人番号登録・変更届
  • ・高年齢雇用継続基本給付金の支給申請(受給資格確認を含む)
  • ・高年齢再就職給付金の支給申請
  • ・育児休業給付金の支給申請(受給資格確認を含む)
  • ・介護休業給付金の支給申請

○ハローワークへの住所変更手続きは不要

雇用保険被保険者である社員が住所変更した場合でも住所変更手続きは不要です。ハローワークでは、雇用保険被保険者の住所は管理されていません(届け出もしていません)。

┃社員の被扶養者に住所・氏名に変更が発生した場合

○社員の被扶養者の各種変更手続き

社会保険被保険者に被扶養者(扶養家族)がいる場合は、「被扶養者(異動)届」を年金事務所へ届け出ます。協会けんぽ以外の健康保険(健康保険組合など)の被保険者の配偶者が被扶養者の場合は、「国民年金第3号関係者届」のみを年金事務所に提出します。

被扶養者について、次の変更が発生した場合には届け出が必要です。

  • (1)氏名の変更または訂正があったとき
  • (2)生年月日に訂正があったとき
  • (3)性別に変更または訂正があったとき

○被扶養者の各種変更手続きと添付書類

社会保険被保険者である社員の被扶養者に異動があったときや届け出事項に変更が発生した場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」を年金事務所へ届け出ます。その被扶養者が国民年金第3号被保険者の場合には、「国民年金第3号被保険者関係届」も同時に届け出をします。

*日本年金機構「被扶養者の届出事項に変更があったとき」

┃まとめ

今回は、社会保険・雇用保険の住所・氏名変更等の手続きについて解説しました。社会保険や雇用保険の公的保険から適切な保険給付を漏れなく受ける場合には、その時々に正しく手続きを行う必要があります。

いつ、どのようなタイミングで手続きをすればいいかわからない、という方は、顧問社労士に相談するようにしてください。

※2023年7月10日、内容更新しました。

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