【賃金支払いのルール】給与の振り込みは給与支給日の何時までに行うべきか

労働契約は社員(労働者)が労務を提供し、会社(使用者・事業主)が労働の対価として給与(賃金)を支払うことで成立します。当然のことながら社員としては決まった期日に給与が振り込まれることを前提として生活をしています。

どの会社にも給与支給日が決まっていて普通は数日前には給与計算が終了し、振り込み予約までしていることが多いです。しかし、中には給与支給日になっても給与が振り込まれないような会社もあるようです。

「給与支給日になったのに銀行口座に給与が振り込まれていない」ということが原因で会社に対して不信感を持ち労務トラブルに発展することもあります。社員としては給与支給日の朝、給与が振り込まれていることを前提にクレジットカードやその他の支払いに対応していることもあり、給与の支払い遅れは信頼関係に大きく影響します。資金不足などによって給与の遅配が発生するケースの他、経営者のルーズさによって給与計算が遅れたり振込処理が遅れたりすることもあるようです。

今回は、賃金支払いの基本的なルールと給与の振り込みは給与支給日の何時までに行うべきかについて解説します。

┃賃金支払い5原則

○賃金支払い5原則とは

労働基準法24条では、賃金を支払うときのルールが定められておりこれを賃金支払い5原則といいます。会社は賃金支払い5原則にのっとり給与を支払うことが義務付けられています。

賃金支払い5原則の中で賃金は「通貨で」「全額を」「労働者に直接」「毎月1回以上」「一定の期日を定めて」支払うこととされています。なお、賃金の銀行振込は、賃金支払い5原則の例外(直接払いの例外)という扱いになっているため、給与を振り込みで支払うためには社員の同意が必要です。

○銀行振込での支払は例外扱い

労働基準法において賃金は、「通貨で」「労働者に直接」支払うこととされています。これは、給与支払日に現金が入った封筒を手渡しするような方法です。なぜこのようなことが定められているかというと昔あったような中間搾取(いわゆるピンハネ)を防ぐという意味があります。

現在では、多くの会社が銀行振込で給与を支払っていると思いますがその場合、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • ・労働者の同意を得ていること
  • ・労働者が指定する本人名義の口座であること
  • ・賃金の全額が所定の賃金支払日に払い出し得る状況にあること

一般的には、入社時に銀行口座を届け出させる際に「口座振替に同意する」旨の同意書も兼ねるような書式にしていることが多いです。

*出典:群馬労働局「賃金支払いに関する事項のあらまし」

┃給与支払いに伴い整備しておく書類・帳簿類

○法定三帳簿とは

法定三帳簿は、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3種類です。

○法定帳簿の種類

・労働者名簿

労働者名簿とは、氏名・生年月日・住所・性別などの社員の情報を、個々にまとめた名簿のことです。この名簿の保存期間は3年で、退職・解雇・死亡日が、起算日として設定されます。

・賃金台帳

社員1人ひとりの賃金支払い状況をまとめた台帳のことです。項目には、氏名や性別・計算期間や労働時間数・基本給や手当の種類と額に関する項目などがあります。保存期間は3年で、起算日は最後の賃金について記入した日となっています。

・出勤簿

社員の出勤状況を記録したもののことです。記録には、タイムカードの記録や使用者の始業時刻・終業時刻を記録した書類・労働日数や労働時間などがあります。保存期間は3年で、最後の出勤日が起算日となっています。

○労働条件通知書・労働契約書

法定三帳簿とは別に作成しなければならない書類として労働条件通知書があります。労働条件通知書は所定の項目を明示したものを雇い入れ時に原則書面で交付することとなっています。

┃給与支払日の○時には引き出せること

○給与は支払日の朝○時までに引き出せるようにすること

多くの会社では、給与支払日の前日までには給与計算を終えて、振込予約をするため支払い日の0時以降に振込が実行されることになります。金融機関によっては、開店時刻と同時に個人の口座へ反映されることもあるようです。

もし、前日までに振込予約が間に合わなかったり、給与支払日当日に窓口などで振込処理をしたりする場合でも午前10時までに完了させるのが原則です。これについて行政通達では「賃金支払い日の午前10時頃までに払い出しが可能となっていること」とされており、労働基準監督署でもそのように指導されているようです(昭和50.2.25基発第112号)。

午前10時を過ぎてしまっても罰則などはありませんが、そのようなことが度々あったり、午後にならないと給与が振り込まれなかったりして社員から労働基準監督署へ相談が寄せられるようなことがあると行政指導の対象になることが考えられます。

○給与計算スケジュールの見直しが必要なケース

度々給与の遅配が発生したり、給与支払日当日まで給与計算が終わらなかったりするような会社の場合、給与計算スケジュールに無理が生じているケースもあります。そのような場合には、給与支払日や締め日の変更を検討することをお勧めします。締め日から給与支払日までの感覚が10日未満の場合、カレンダーによっては給与計算に十分な時間を取れず無理を生じることが多いです。

少ない時間で給与計算を行わないといけないのにもかかわらず給与計算担当者が急病になったり、事故で出社できなかったりした場合に賃金の支払い遅れという最悪の事態が起きる恐れもあります。そうならないように遅くとも3営業日までには給与計算が確定し、給与支払日の前日には振込処理が完了するようにするのが望ましいと言えます。

○給与支払日が土日祝日の場合は前倒し?後ろ倒し?

給与支払日が土日祝日の場合、多くの会社では直前の営業日に前倒しして支払うことが多いです。稀に後ろ倒しをして支払う会社もありますが、賃金支払い5原則のうち「毎月1回以上」「一定の期日を定めて」支払う、という規定に違反することが考えられるため注意が必要です。

┃まとめ

今回は、賃金支払いの基本的なルールと給与の振り込みは給与支給日の何時までに行うべきかについて解説します。

労働の対価として給与を支払うということは、会社としては最重要事項であり社員に対しての責任であると考えられます。給与の遅配や計算間違いは社員との信頼関係を大きく損なう恐れがあります。

給与計算を自社で行う場合には、労働基準関係法令や社会保険関係法令、税務法令などを熟知した上で毎月スケジュール通り間違いなく対応していくことが重要です。

*群馬労働局
・賃金支払いに関する事項のあらまし

※2023年11月24日、内容を更新しました。

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