退職のときのルールと就業規則の効力

各社、退職するときのルールは就業規則や雇用契約書で定められていると思います。

しかし、実態としてはその通りにならないことも珍しくなく、「直前になって退職の申し出がされる」「就業規則違反について処分はできないのか」等の相談も多いです。

┃退職のときのルールと就業規則

就業規則で退職のルールを定める場合、次のようなルールが規定されていることが一般的です。

===============
第○条 退職
自己都合で退職する社員は、退職日の●箇月前までに会社に退職届を届け出るものとする。
===============

「●箇月」を2箇月や3箇月としても実際には、その規定の役目を果たしていないことの方が多いです。

┃就業規則違反で処分することはできるか

「●箇月前に申し出ること」とあるのに直前になって退職の申し出をしたことに対して就業規則違反での処分は、事実上できないと考えられます。

懲戒処分をするとしても「けん責(注意・指導)」程度が妥当だと考えられるので、これから退職する人に対しては、あまり効果はないと言えます。

当然のことながら「就業規則違反だから退職を認めない」ということもできません。

┃退職に関する民法のルール

退職に関しては、会社内のルールとして就業規則があるとしても民法上は次のように定められており、どちらが優先されるかは議論が分かれるところです。

===============
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
===============

この民法の規定が適用されると考えれば、期間の定めのない労働契約(正規雇用)の場合は、いつでも労働契約の解約を申し入れることができます。

さらに、退職願を提出する等、退職の意思表示をした日から2週間を経過すると自動的に労働契約が終了します。

ただし、これは労働者側からのことであり、事業主側から労働契約の解約(解雇等)を申し出る場合には、労働基準法が適用されるので注意が必要です。

正規雇用労働者が月給で賃金が定められている場合には、民法第627条第2項の規定にも注意が必要です。

===============
第六百二十七条
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
===============

この規定では、退職の申し入れは、賃金計算期間の前半に次期以降についてすることとされています。

具体的には、
○賃金計算期間:1日~末日
○退職希望日:2月末日
このようなケースでは、1月15日までに退職の意思表示をする必要があります。

┃「退職を認めない」は認められない

退職に関する一般的なルールを解説してきましたが就業規則や民法、労働基準法等、すべてのルールに優先して憲法第22条で職業選択の自由が定めれています。

この憲法の大原則により、退職の自由は保障されていると言えます。

事業主としては、退職時のトラブルを防いだり引き継ぎを円滑にしたりするためにも日々の接し方が重要です。

例え、従業員が退職を決意したとしても最後は気持ちよく送り出せることがお互いにとってベストと考えられます。

*関連記事
退職金制度の効果的な活用方法