半日休暇を取得した場合の時間外労働と割増賃金
午前半休や午後半休等、半日休暇をした場合にさらに時間外労働が発生するケースがあります。
その場合の残業手当の計算方法について、誤った計算をしていることが多いので注意が必要です。
┃半日休暇(午前半休・午後半休)の考え方
法定の年次有給休暇は、1日単位で付与するのが原則ですが労使間で労使協定を締結した場合には時間単位で付与することが可能です。
半日休暇(半日有給)については、法律上は特に明記されておらず半日単位で付与する義務はありません。
ただし、労働者が希望しており事業主が承諾した場合には半日単位で年次有給休暇を付与することは問題ありません。
┃半日休暇を取得した場合の時間外労働
労働者が午前半休を取得し、その後の労働により所定労働時間を過ぎてしまうケースがあります。
- 例)
- 所定労働時間:09:00~18:00(休憩1時間)
- 午前半休を取得:09:00~13:00
- 午後の労働時間:13:00~20:00
- ※休憩は取得しなかったとします
このようなケースの場合、18:00から20:00は、所定外労働ということになりますが、給与計算時の対応が誤っているケースは少なくありません。
給与計算時の方法としては、次のようなケースがあります。
① 実働8時間以内のため追加の賃金支給はなし
② 18:00以降は、時間外労働として「通常賃金×1.25」の割増賃金を支給
③ 18:00以降は、所定外労働として「通常賃金×1.0」の通常賃金を支給
このうち、①は明らかな計算間違いで未払い賃金が発生しています。
┃半日休暇を取得した場合の正しい計算方法
上記の①②③のうち、正しい計算方法は「③18:00以降は、所定外労働として「通常賃金×1.0」の通常賃金を支給」です。
ただし、②については、本来支払うべき金額よりも多く支払っていることになるので違法ではありません。
┃法定内残業と法定外残業という考え方
このように法定労働時間(1日8時間)内ではあるけども所定労働時間外になり、「通常賃金×1.0」を支払う場合を法定内残業と言ったりします。
これに対して、「通常賃金×1.25」の割増賃金が発生する場合を法定外残業と言い、区別することがあります。
給与計算ソフトに設定をするときには、分けて設定することになるでしょう。
┃半日休暇を導入する場合のポイント
年次有給休暇の半日単位での取得を認めるような場合には、ここまでにお伝えしたように法定内残業と法定外残業に対する給与計算を正確に行う必要があります。
年次有給休暇の管理も1日単位と0.5日(半日)単位での管理が必要になります(時間単位年休を導入するとさらに細かい管理が必要)。
また、半日単位で年次有給休暇が取得できることについて就業規則に定めるとともに半日の単位も明記しておく必要があります。