【育児・介護休業とは】制度の概要と法改正のポイントをわかりやすく解説

育児・介護休業法は、労働者が「結婚・妊娠・出産」や「介護」と「就労」のどちらかを選択するのではなく、仕事と生活を両立させることができるようにするための法律です。

近年、育児・介護休業法は頻繁に法改正が行われ制度の全体像を理解することがとても難しくなっています。

今回は、育児・介護休業法と育児・介護休業制度の概要、2022年度施行分の改正育児・介護休業法のポイント、就業規則の変更方法についてわかりやすく解説します。

┃育児・介護休業法とは

日本では、少子高齢化が進み人口が減少しているのは周知の事実です。人口減少と少子化の進行は、労働力人口の減少にも深刻な影響を与えます。

そのような問題を解決するためには、「結婚・妊娠・出産」や「介護」と「就労」のどちらかを選択するのではなく、仕事と生活を両立させることが必要不可欠です。

育児・介護休業制度の概要

育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、育児や介護が必要な場面に直面した労働者が円滑に「仕事」と「育児・介護」を両立できるように配慮し、支援することを目的としています。

育児・介護休業法では、育児支援と介護支援、そして育児と介護の両方に共通する支援策や社員が制度利用をしやすくするための仕組みが規定されています。

○育児支援のための制度

  • ・育児休業制度
  • ・子の看護休暇制度

○介護支援のための制度

  • ・介護休業制度
  • ・介護休暇制度

○育児・介護支援共通の制度

  • ・所定外労働の制限
  • ・時間外労働の制限
  • ・深夜業の制限
  • ・所定労働時間の短縮措置等
  • ・制度を利用した労働者に対する不利益取り扱いの禁止

法律上最低限の制度を整備した上で、プラスアルファの制度を設けることが望ましいとされています。

そのようなプラスアルファの措置を講ずることを推進するくるみん認定制度なども用意されています。

育児・介護休業法がつくられた背景

育児・介護休業法がつくられた背景としては、少子高齢化、労働力人口の減少、女性の活躍や職場復帰の促進、高齢者の増加による介護と介護離職問題などいくつかのポイントがあり、こうした社会問題を解決するということが目的です。

少子高齢化が進行すると労働力人口も減少し、経済は縮小し社会の活力もなくなっていきます。

同時に親世代の高齢化に伴い介護が必要になるとこれまでのようなフルタイムでの働き方が難しくなったり一時的に介護に専念しようとしても収入面で不安が生じたりします。

人口減少を食い止めるための施策として子育て支援をしようとしても、安心して育児休業を取得できる環境を整備しないと妊娠・出産には踏み切れません。

安心して育児休業を取得できる環境としては、収入面でのフォローや職場復帰支援が必要不可欠です。

労働力人口の減少という課題を解決するためにも育児や介護を理由に一時離職した人を活用したり、そもそも育児や介護を離職理由にさせないということだったりが重要になります。

┃育児・介護休業法の最近の法改正の流れ

育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は近年、頻繁に改正が行われています。

主な改正内容は次の通りです。自社の育児介護休業規程が法改正に対応しているかも確認が必要です。

2021年1月改正のポイント

○休暇の取得単位の柔軟化

子の看護休暇および介護休暇について原則すべての労働者が時間単位での取得が可能になりました。

2017年10月改正のポイント

○育児休業期間の延長

子が1歳に達するまでに保育所に入れない場合に例外的に育児休業を1歳6箇月まで延長できる制度に加え、さらに2歳まで延長できるようになりました。

○育児休業等制度の個別周知

育児休業を取得しなかった労働者に対して「なぜ育児休業を取得しなかったのか」調査したところ、「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という回答が一定数あったようです。

育児休業の取得を希望しながら、職場が育児休業を取得しづらい雰囲気であることを理由に、育児休業の取得を断念することがないよう、育児休業取得の周知・勧奨することを事業主への努力義務として規定されました。

○育児目的休暇の新設

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けることを事業主への努力義務として規定されました。

★育児休業と育児休暇の違い

育児休業と育児休暇とが混同されているケースがありますが、この二つはまったく違う制度です。

育児休業が法律上、社員に認められている制度である一方、育児休暇(育児目的休暇)は事業主に対して努力義務として設けられているものですので、必ず定めないといけないものではありません。

育児目的休暇としては、配偶者出産休暇や子の行事参加のための休暇などが考えられます。社員の定着や採用活動のアピール材料として独自の育児目的休暇を設けるのも良いでしょう

2017年1月改正のポイント

○介護休業の分割取得

対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで、介護休業を分割取得することができるようになりました。

○介護休暇の取得単位の柔軟化

介護休暇について半日単位での取得が可能になりました。

○介護目的の短時間勤務制度等の措置

介護休業とは別に介護のための所定労働時間の短縮措置等を、利用開始から3年の間で2回以上、利用が可能になりました。

○介護のための所定外労働の免除

介護のための所定外労働の免除を介護終了までの期間について請求することのできる権利として新設されました。

○子の看護休暇の取得単位の柔軟化

子の看護休暇について半日単位での取得が可能になりました。

○有期契約労働者の休業取得要件緩和

育児休業と介護休業について、有期契約労働者の休業取得要件が緩和されました。

2017年1月施行のこのときは育児介護休業法と合わせて男女雇用機会均等法の改正も行われ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い禁止に加えて、防止措置を講じることが事業主の義務として定められました。

┃2022(令和4)年度の法改正のポイント

2022(令和4)年度施行分の改正育児介護休業法は、2022(令和4)年4月と10月、そして2023(令和5)年4月の3段階で施行されます。

2022年度改正の概要と方向性

2022年度施行の改正育児介護休業法で最も注目されるのは、産後パパ育休(出生時育児休業)といわれる男性社員の育児休業制度の創設です。

その他、育児休業制度の個別周知や取得要件緩和、育児休業の分割取得など育児休業をより活用しやすくするような改正が行われています。

2022年4月改正のポイント

○雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

会社は、社員が育児休業と産後パパ育休(出生時育児休業)を活用しやすくするために次のいずれかの措置を講じることが義務付けられます。

  • ① 育児休業・産後パパ育休に関する 研修 の実施
  • ② 育児休業・産後パパ育休に 関する相談体制の整備 等(相談窓口設置)
  • ③ 自社 の労働者の育児 休業・産後パパ育休取得 事例の収集・提供
  • ④ 自社の労働者へ育児休業 ・産後パパ育休 制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

最低でもいずれか一つ、可能な限り複数の取り組みを実施することが望ましいとされています。

社員本人、または、配偶者の妊娠・出産について申し出があった場合には、以下の事項の周知と休業取得の意向確認を個別に行う必要があります。

  • ①育児休業・産後パパ育休に関する制度
  • ②育児休業・産後パパ育休の申し出先
  • ③ 育児休業給付に関すること
  • ④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

周知・意向確認の方法としては以下の方法が挙げられています。

  • ① 面談
  • ② 書面交付
  • ③ FAX
  • ④ 電子メール等

○有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

有期雇用労働者の育児休業取得について、以下の通り取得要件が緩和されます。

2022年3月までの法律では次の2つが休業取得要件になっています。

  • (1)引き続き 雇用された期間が1年以上
  • (2)1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

2022(令和4)年4月1日以降は、上記(1)の要件が撤廃されます。

  • ※引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可
  • ※育児休業給付金についても同様に要件緩和

2022年10月改正のポイント

○産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間の範囲内で取得ができる休暇制度です。育児休業とは別に取得が可能になっています。

産後パパ育休(出生時育児休業)の主な要件は次の通りです。

  • ・対象期間は子の出生後8週間以内に4週間の範囲内
  • ・原則として休業開始の2週間前までに申し出ることで取得可能
  • ・分割して2回までの取得可能
  • ・労使協定を締結することで一定の範囲内で休業中に就業可能

○育児休業の分割取得等

育児休業開始日が1歳時点と1歳6箇月時点に限定されていた規定が廃止されました。この改正により1歳から1歳6箇月の間、2歳までの間のそれぞれの期間に夫婦で育児休業の交代が可能になりました。

これまで育児休業の再取得は原則認められていませんでしたが、対象だった子の死亡等、特別な事情がある場合に再取得が可能になりました。

【改正後の働き方・休み方のイメージ(例)】

*参照:厚生労働省:リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」

2023年4月改正のポイント

○育児休業取得状況の公表の義務化

社員数1000人超の企業について、育児休業等の取得の状況を年1回公表すること
が義務付けられます。

┃育児・介護休業法の改正と就業規則変更

事業主としては、2022年4月施行分と10月施行分のそれぞれについて就業規則(育児介護休業規程)の変更が必要になります。

合わせて2021年以前の改正育児介護休業法への対応も済んでいるかどうか確認を行うようにしましょう。

2022年4月施行分と10月施行分に分けて説明しますが就業規則の変更漏れが無いようにということを考えると2022年3月までに両方合わせて対応をしておくことも考えられます。

2022年4月施行分に関する就業規則の変更

○有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

有期雇用労働者が育児休業・介護休業を取得する場合、従来は次の2つが要件でした。

  • (1)引き続き雇用された期間が1年以上
  • (2)1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

今回の改正により2022年4月以降は、「(1)」の要件が廃止され、無期雇用労働者と同様の取り扱いになります。

育児介護休業規程では、育児休業と介護休業それぞれの対象者の部分で「引き続き雇用された期間が1年以上」の文言の削除が必要です。

2022年10月施行分に関する就業規則の変更

○産後パパ育休(出生時育児休業)の創設とパパ休暇の廃止

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設に伴い、従来のパパ休暇は廃止されます。

現状の育児介護休業規程に次のような文言がある場合には削除する必要があります。

=====
「産後休業をしていない社員が、子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内にした最初の育児休業については、1回の申出には数えない」等。
=====

産後パパ育休(出生時育児休業)は、新しい制度ですので次のような制度の内容を新たに追加します。

  • ・育児休業とは別に取得が可能
  • ・休業の2週間前までの申請で取得可能
  • ・原則2回の分割取得が可能
  • ・労使協定の締結により休業中の就労が可能(制限あり)

○育児休業の分割取得

育児休業は、分割取得が原則不可でしたが今回の改正により分割取得ができるようになりました。

従来の規程では「同一の子については再度申出をすることができない。」という文言になっていると思われるので、条文の変更が必要です。

○育児休業開始日の柔軟化

従来、1歳以降の育児休業の開始日は「1歳6箇月までの育児休業の場合は子の1歳の誕生日まで」「2歳までの育児休業の場合は子が1歳6箇月になる日まで」の届け出が必要でした。

今回の改正では、このような制限が廃止されたため、夫婦間で育児休業の交代もしやすくなっています。

育児休業の手続きで「1歳6箇月に達するまでの休業を開始しようとする日は、子の1歳の誕生日に限る」等の条文については変更が必要です。

○育児休業の再取得

育児休業の申し出を撤回した場合、従来は「同一の子については再度申出をすることができない」とされていました。

今回の改正では、「特別な事情(子の死亡等)があれば再度の申出ができる」ことになったので、この部分について条文の変更が必要です。

労使協定の作成と締結も忘れずに

2021年以前の労使協定では、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和や産後パパ育休(出生時育児休業)中の就業に関しては対応していません。

このような内容について協定する場合には、新たな労使協定の締結が必要です。

┃育児・介護休業の現状と最近の動向

育児・介護休業は、男性も女性も性別に関係なく取得することができます。取得率は、法律が施行され、制度ができた1992(平成4)年頃と比較すると上昇しているものの、まだまだすべての労働者が十分に制度を活用できていないのが現実です。

育児休業取得の現状

厚生労働省から公表された「令和元年度雇用均等基本調査」 の結果概要によると育児休業の取得率は83.0%でした。1996(平成8)年の調査結果では49.1%だったことと比較すると大幅な改善ということができます。

しかし、2008(平成20)に90.6%まで上昇して以降、2009(平成21)年からは80.0%代で横ばいとなっています。

【育児休業取得率の推移(女性)】

*参照:厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」

男性の育児休業

男性の育児休業取得率は、1996(平成8)年の調査結果では0.12%とほぼ取得していない状況でしたが、2019(令和元)年には7.48%まで上昇しています。

しかし、まだまだ十分な数値ということはできません。

女性と男性の育児休業取得率を見てもわかる通り依然として育児の負担が女性に偏っている状況です。

【育児休業取得率の推移(男性)】

*参照:厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」

育児休業制度の諸外国との比較

少し古いデータですが男女共同参画局から公表されている「平成15年版男女共同参画白書」 によると次のような調査結果となっており、2003(平成15)年当時で既に差が生まれていたことがわかります。

  • ○アメリカ・・・・・男性の13.9%が育児休業を取得
  • ○スウェーデン・・・女性はほぼ完全取得、男性は約36%が取得
  • ○イギリス・・・・・男性の約12%が取得

介護休業取得の現状

総務省から公表されている「平成29年就業構造基本調査」 の結果概要によると15歳以上人口(110,976千人)のうち、介護をしている人は627万6千人、そのうち仕事をしながら介護をしている人は346万3千人(65.3%)にもなります。

一方で同じ頃に厚生労働省から公表された「育児・介護休業制度等の見直しについて(平成28年8月)」を見ると、介護休業を取得した人の割合は3.2%(男性:3.5%、女性3.2%)と非常に低い数値となっています。

介護離職は社会的な課題

前述の「平成29年就業構造基本調査」によれば平成28年10月~平成29年9月までの1年間でに「介護・看護のため」に前職を離職した人は、9万9千人で離職理由の1.8%を占めています。

このようないわゆる介護離職が今後も増加していけば労働力不足にも深刻な影響を与えることになるでしょう。

会社としても介護休業制度をよく理解し、制度を利用しやすい状況を整備していかないと人材の流出が進み、人材の確保が難しい状況になっていくことが予想されます。

┃社員側から考える育児・介護休業の課題

育児・介護休業は、一定の条件の元に社員に権利として認められているもので、本来であれば必要なタイミングで取得することができる制度です。

しかし、育児・介護休業の取得率が100%にならないのはなぜかというとそこには様々な問題があります。

課題①:取得しにくい雰囲気

会社内に育児・介護休業を取得したことがある人がいなかったり、会社や上司が制度に対して否定的だったりすることがあります。

直接的に制度批判はしなくても日ごろから上司が「育児・介護休業を取ると評価に影響する」ような発言をしているケースもあります。

特に男性が育児休業を取得することに対してはまだまだ理解が進んでいない会社も多いことが予想されます。

職場の人手不足感も取得しにくい雰囲気をつくる要因の一つです。「自分が休業を取得することで他のメンバーに迷惑がかかる、しわ寄せがいく」と感じてしまいます。

普段から業務量が多く責任ある仕事を任される人ほどそのような感情を抱くことになるでしょう。

課題②:休むことへの不安

休業を取得しにくい雰囲気を押し切り制度を活用したとしても「復帰した後にまた仕事を任せてもらえるのか、自分の居場所があるかどうか」が不安というケースもあります。

左遷されるのではないか、出世ができなくなるのではないか等、そのような不安を抱えて制度を活用したいということを言い出せない人もいるでしょう。

課題③:収入に対する不安

育児や介護で多くの費用が必要になるにも関わらず、休業してしまうと収入が減少してしまいます。育児休業給付金や介護休業給付金制度を活用したとしても100%の収入が保障されるわけではないため、収入減少はやむを得ないとも言えます。

制度の整備や周知が不十分な面も

法律上は、育児休業や介護休業を始めとした様々な制度が用意されていますが社員本人も会社も制度の理解が不十分なケースも多いです。

ある程度の規模の会社であれば、育児介護休業規程が整備されていたり顧問の社会保険労務士などから情報提供を受けたりして制度の概要の理解に努めることができます。

しかし、社員数が10人未満で育児介護休業規程などを整備していなかったり適切な情報収集ができていなかったりすると制度があることすら知らない会社もあります。

そうすると育児や介護が必要になった人材は、離職し、制度が整っている会社へ流出していくことになります。

┃会社側から考える育児・介護休業の課題

育児・介護休業が法律で認められていて制度として存在していることはわかっていたとしてもなかなか制度の積極的な周知、利用促進に踏み切れない会社も少なくありません。特に中小企業ではその傾向は顕著です。

課題①:一時的な労働力不足への対応

余剰人員を抱える余裕がない中小企業では、いつもギリギリの人員で事業を運営をしています。そうすると一人一人にかかる期待や業務量も大きいと言えます。

普段からしっかりと引き継ぎをしたり分業制にしたりするなど、休みやすい環境を整備することが難しいと考えている中小企業経営者は多いでしょう。

課題②:社内の理解を得ることへの対応

会社や経営者が古い経営体質だったり年齢層が高い社員が多いような会社だったりすると一部の若い人が声を挙げたとしても理解を得られないケースもあります。

同族経営の会社などで経営者が若い世代に変わり、現代の制度に即したコンプライアンス重視の経営に切り替えようとしているのに古参社員が反発する、ということも珍しくありません。

課題③:休業中および復帰後の処遇

これから休業を取得しようと考えている社員も復帰後のことを不安に感じているように会社としても休業を取得させることに不安を感じています。

その人が休業中、他のメンバーだけで仕事を回せるのか、回せない場合に欠員補充をするのか、欠員補充をしたとしても休業から復帰した後に余剰人員になってしまうことも懸念事項の一つです。

都合よく有期契約で採用できることも稀ですし、人件費が高い派遣社員の活用には踏み切れないということもあります。

課題④:手続きに関する負担

出産手当金や育児休業給付金、社会保険料の免除手続きなど育児休業取得者が一人であっても相当な量の手続きが発生し、さらに完了までに1年から2年程度もかかることもあります。

中小企業では、適切に手続きを処理することが大きな負担になることも考えられます。

助成金の活用を検討する

育児・介護休業は、社員に認められた権利であるとはいえ、会社にとって負担になることは事実です。しかし、国としても労働力人口不足解消のために育児・介護休業の取得率を向上させたい考えもあります。

そこで国や地方自治体は、社員に対して育児・介護休業を取得させた会社に助成金を支給するなど、制度整備と費用面の支援策を用意しています。

2021年度の制度としては次のようなものがあります。

○両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

男性の育児休業等取得推進に取り組む事業主を支援する。

○両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)

仕事と介護の両立に取り組む中小企業を支援する。

○両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

育児休業の制度整備や取得・復帰促進、代替要員の確保などに取り組む会社を支援する。

この他の制度や2022年度以降の制度は、厚生労働省ホームページ(事業主の方のための雇用関係助成金) を確認してください。

┃育児・介護休業を取得促進するメリット

会社としても社員としても不安とデメリットを考えることが先行してしまいがちですが育児・介護休業制度の取得促進をすることはメリットもあります。

社員側としては、育児や介護の時間を確保できるというメリットがあることは言うまでもありませんが会社側としても次のようなことが考えられます。

採用と人材定着につながる

会社として育児介護休業規程を整備し、制度の周知、休業取得促進を打ち出すことで既存の社員の帰属意識を高めることができます。

育児・介護休業の取得実績がある会社は、実績をアピールすることで採用活動が有利になることもあるでしょう。

これまでも新卒採用や学校求人を進める場合に育児休業取得率や取得実績などが注目されることがありました。今後、中高年の中途採用を進めるときにも介護休業の取得率や取得実績が重要になることも考えられます。

同業者が育児・介護休業に消極的な業界であれば、採用活動でそのようなことを打ち出すことで大きなアドバンテージになることは間違いありません。

会社のイメージアップ

育児・介護休業の取得率や取得実績を数値で打ち出しアピールすることも有効ですが、「くるみん」や「えるぼし」などの認定を受けて認定マークを会社のホームページや名刺に掲載するのも良いでしょう

採用活動以外に取り引き先などにもコンプライアンスを順守した優良企業であることをアピールすることができます。

社員とその家族との信頼関係

事業を継続していくためには社員との信頼関係は欠かせません。さらに社員に長く自社で勤めてもらうためにはその家族の理解が得られなければなりません。

育児・介護休業も取れない、取りにくい、取らせてもらえないような会社に長く勤めたいと思う人はいないでしょう。

会社としてそのようなことに積極的に取り組むことで会社と社員、その家族との信頼関係を築くことにつながっていきます。

┃まとめ

今回は、育児介護休業法と育児・介護休業制度の概要と2022年度施行分の改正育児介護休業法のポイント、就業規則の変更方法についてお伝えしました。

育児介護休業法の他、法改正への確実な対応とコンプライアンス順守は、法律を守るということ以上に採用や人材定着など事業の継続にも影響を及ぼします。

就業規則や育児介護休業規程、労使協定の作成や変更、社員への育児・介護休業制度の周知などに関するご質問やご相談は、社会保険労務士法人GOALまでご連絡ください。