台風時の出勤命令と安全配慮義務
台風や地震などの災害発生時に出勤命令を出すか自宅待機や休業とするかは判断が分かれるところです。
このような時、よくご相談いただくのは「給与を支払うべきかどうか」という休業手当に関することです。
しかし、無理な出勤を指示することによって安全配慮義務違反を問われる恐れもあります。
台風や大雨等の自然災害時に考えること
台風や大雨等の自然災害発生時やその被害が予測できる時、事業主としては出勤を命じるか自宅待機や休業とするかを判断することになります。
いずれにしても定時に出社できなかったり、出社そのものが困難だったりする場合があります。
場合によっては労働基準法で定められている休業手当を支払う義務が発生することもあります。
一律に
「自然災害だから休業」
「台風でお客さんが来なそうだから休業」
だから給与は支払わない、ということにはならないので注意が必要です。
出勤を命じたことによる安全配慮義務違反
事業主は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮する義務があります。
○安全配慮義務を判断する3条件
・予見可能性
・結果回避義務
・因果関係
この3つの観点から安全配慮義務違反を判断します。
事業主がこの義務を怠り、労働者に損害を生じさせたときは、その損害を賠償しなければならないこととされています。
さらに、この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されることがあります。
大型の台風接近時に出勤を命じる際には、安全配慮義務の観点から「安全に出勤できるか」ということも考える必要があるでしょう。
出勤ができない時の備え
弊社では、基幹システムをクラウド化したり、日ごろからビジネスチャットでやり取りをしたりと在宅ワーク(テレワーク)にも対応できる環境を整備しています。
普段は、出勤を原則としつつ、いざという時は在宅ワークに切り替えるられるような準備をしておくことをお勧めします。
※関連記事
台風等の自然災害に伴う休業と休業手当
※厚生労働省:職場のあんぜんサイト
安全配慮義務