業務として自動車等を運転させる場合の注意点
営業職や顧客への訪問を伴う業務で自動車等の運転が必要になることがあります。
自動車等の業務使用により万が一、事故が起こった場合には人命にかかわることにもなる可能性もあり会社としても大きな損失を被るリスクがあります。
事業主としては、事故防止のためにも事前の対策と日ごろの取り組みが重要になります。
┃事故発生時の事業主の責任とリスク
交通事故が従業員本人の不注意だったとしても運転業務中の事故であれば、事業主の責任は免れないと考えられます。
事業主の責任としては、
- ・使用者責任
- ・運行供用者責任
以上のような民事上の責任による「損害賠償責任」を負うことになるでしょう。
事故の被害の程度や日ごろの運行管理体制の不備により、「危険運転致死傷罪」等の刑事責任を負わされる可能性もあります。
その他、従業員への安全配慮義務違反等、リスクは多く存在すると言えます。
┃リスクへの備え、損害保険への加入は必須
自動車の業務利用を命じる場合には、適切な損害保険に加入することを強くお勧めします。
「労災保険に加入しているから問題ない」と考えている事業主もいますが、労災保険は自社の労働者に対する補償です。
対人対物の被害者、相手方がいる場合には、相手方への損害賠償は労災保険の対象外です。
法人として加入する損害保険では、使用者責任賠償に対応しているものがあるので、そういった商品に確実に加入することが重要になります。
┃事業主としてのリスクを最小限にとどめるために
運転業務、自動車の業務利用を命じる場合には、損害保険に加入するのはもちろん、事前に以下のような取り組みを実施して、事故の防止に努める必要があるでしょう。
事業主として日ごろの取り組みを確実に実施しておくことで、万が一事故が起こり、事業主にも責任追及が及んだ際にもその責任を最小限にとどめることにつながります。
○自家用車使用規程等を整備する
→許可制での運用、任意保険等の基準の明確化
○規程の周知徹底と教育研修の実施
→万が一、事故が起きた際に会社としての取り組みを示し、会社としての責任を軽減する
○使用者責任に対応した損害保険への加入
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