忘年会・歓送迎会等(会社行事)への参加は労働時間にあたるか

「懇親会・飲み会への参加は強制ですか?」「忘年会に参加したら残業代でますか?」社員からこのような質問を受けたことがある経営者や管理職は少なくないのではないでしょうか。

年末年始や春先などは、忘年会や新年会、歓送迎会といった会社行事としての飲み会や懇親会が増えます。

最近では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり懇親会などを控えていた会社も多いと思いますが、感染拡大が収まってきたこともあり2021年の年末は忘年会を実施しようという動きもあります。

残業代(時間外労働・休日労働に対する割増賃金)が発生するというということは、労働時間としてカウントする必要がある、ということになります。

経営者としては、そんなことはあまり考えずに楽しく飲みたいところではあります。

しかし、社員から「飲み会に参加したら残業代でますか?」といった質問が出ることも考えて、会社として適切な対応ができるよう準備をしておく必要があるでしょう。

┃労働時間とは

労働基準法では労働時間について
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① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(労働基準法第32条)
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以上のように規定していますが「どのような場合が労働時間にあたるか」は、特に明記されていません。

労働時間の定義に関しては、<三菱重工業長崎造船所事件>の裁判例の中で「原則として使用者の指揮命令下に置かれたもの」と述べられており、これが基本的な考え方になっています。

労働時間に当たると判断された場合には、当然のことながら残業代(時間外労働・休日労働に対する割増賃金)が発生する、ということになります。

┃「使用者の指揮命令下に置かれている」とは

三菱重工業長崎造船所事件で述べられている「使用者の指揮命令下に置かれている」とは、どのようなケースをいうのか考えてみます。

個別の事案ごとケースバイケースでの判断が必要になる部分もありますが実際の事例をもとに考えると次のようなことが言えます。

  • □場所や時間を指定して、その場にいることを要求されている
  • □その要求に応えないことによる不利益がある

これらに当てはまるかどうかが判断基準になると考えられます。

① 場所や時間を指定して、その場にいることを要求されている

忘年会や新年会、歓送迎会といった会社行事が強制参加なのであれば労働時間にあたると考えることができます。

形式的に自由参加としていたとしても
「基本的にはみんな参加している」等、
実質的に参加を強制するような言動があると会社からの要求があったとみなされる可能性があります。

② その要求に応えないことによる不利益がある

「○○さんは積極的に参加してくれるから評価が高い」等、間接的にでも参加しないことに対する不利益があるような言動があると会社からの要求があったとみなされる可能性があります。

遅刻・早退・不参加について賃金控除等のペナルティが有る場合には、労働時間としてカウントする必要があるでしょう。

┃懇親会・飲み会が労働時間に当たるかの判断基準

懇親会・飲み会等が労働時間に当たるかについては、次のようなことが判断基準になると考えられます。

  • □懇親会・飲み会等への参加が強制されている(実質的なものも含む)
  • □飲食代金が会社の福利厚生費から支払われている
  • □参加しないことへのペナルティがある(実質的、間接的なものを含む)

一つしか当てはまらないから大丈夫、二つ以上当てはまったからダメ、ということではなく個別の事例ごとにケースバイケースで判断する必要があります。

しかし、上の3つすべてに当てはまるようであれば、労働時間としてカウントされて賃金の支払いが必要になると考えることができます。

会社行事としての飲み会等と同様に取引先との接待等についても同様に判断することになります。

┃裁判事例の紹介

労働時間に当たるかどうかは、「=給与の支払い義務が発生するかどうか」ということになるので会社にとっても社員にとってもとても重要です。

労働時間性を判断する時の参考事例としては、次のようなものがあります。

○三菱重工業長崎造船所事件

労働者の作業服及び保護具等の装着・準備体操場までの移動等が労働時間に当たると判断された事例。

○行橋労働基準監督署長事件

中国人研修生との親睦を深めることを目的として、有志によって開催された私的な歓送迎会が歓送迎会に参加してほしい旨の強い意向を示されたことで業務と認定された事例。

○大星ビル管理事件

24時間勤務における仮眠時間が外出を禁じられ、仮眠室における在室、電話の接受、警報に対応した必要な措置が義務付けられていること等から労働時間に当たると判断された事例。

┃まとめ

今回は、忘年会・歓送迎会等の会社行事への参加は労働時間にあたるかについてお伝えしました。

会社としては、社員への福利厚生やモチベーションアップのためにイベントを企画したい気持ちが大きいと思います。

それが、一歩間違うと残業代未払いやハラスメント問題に発展する恐れもあるので注意してください。

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※2021年11月26日内容更新しました

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