【社会保険料の計算方法とは】標準報酬月額の算定方法と報酬に含まれるもの、含まれないものについて解説

社会保険料を計算するには、標準報酬月額を算定する必要があります。標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために社員の月々の給料を等級に区分した金額のことです。

標準報酬月額を算定するには、「報酬」に含まれるもの含まれないもの、標準報酬月額の決め方などを理解しなくてはなりません。

今回は、社会保険料を正しく算定するための社会保険料の計算方法、標準報酬月額の算定方法などについてわかりやすく解説します。

目次

┃社会保険の種類と保険料の計算方法

〇社会保険の種類

社会保険とは、国や自治体が運営する公的な保険の保険料のことです。社会保険には広義の社会保険と狭義の社会保険がありますが、広義としての社会保険には、次の5つの種類があります。

  1. 健康保険
  2. 厚生年金保険
  3. 介護保険
  4. 雇用保険
  5. 労災保険

このうち、「1.健康保険、2.厚生年金保険、3.介護保険」の3つを指して(狭義での)社会保険、「4.雇用保険、5.労災保険」の2つを労働保険と分けて呼称します。

社会保険料は、会社と社員の双方が負担する仕組みとなっており、負担割合は社会保険の種類ごとに異なります。

【労働保険・社会保険の全体増】

・健康保険料

健康保険料は、病気や怪我に備える健康保険の保険料です。健康保険料の負担は、会社と社員が半分ずつとなっています。

・厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老後の年金や障害認定・死亡した場合に備える厚生年金の保険料です。厚生年金保険料の負担は、会社と社員が半分ずつとなっています。

・介護保険料

介護保険料は、要介護認定や要支援認定を受けた場合に介護支援を利用するために支払う保険料です。介護保険料の負担は、会社と社員が半分ずつとなっています。

・雇用保険料

雇用保険料は、失業や育児休暇、介護休暇に備える雇用保険の保険料です。雇用保険料の負担は、業種によって割合が異なります。

・労災保険料

労災保険料は、業務上の怪我や病気に備える労災保険の保険料です。労災保険料は、会社がすべて負担しなければならず、全社員を加入させなければなりません。

〇社会保険料の計算方法

各社会保険料の計算方法は、次のとおりです。

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料標準報酬月額×保険料率
雇用保険料月の給与総支給額×保険料率
労災保険料全社員の1年分の賃金総額×保険料率

保険料率は、社会保険の種類ごとに定められており、例年4月に改定・見直しがお子慣れます。各社員が負担する社会保険料は、算出された保険料に会社との負担割合を乗じたものとなります。

たとえば、令和6年6月現在の厚生年金保険料率は、18.3%です。厚生年金保険料の負担割合は、会社と社員が半分ずつなので、社員が負担する厚生年金保険料は、次の計算式で算出されます。

標準報酬月額×18.3%(保険料率)×1/2(負担割合)

┃標準報酬月額の算定方法

〇標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために社員の月々の給料を等級に区分した金額のことです。等級は、健康保険料と介護保険料については50等級、厚生年金保険料については32等級に区分されています。

具体的な等級区分と保険料率は、都道府県や加入する社会保険によって異なります。標準報酬月額を調べる際は、全国健康保険協会のサイトを参照するのが便利です。

*全国健康保険協会「保険料額表」

〇報酬に含まれるもの、含まれないもの

社員の標準報酬月額を決める際の「報酬」には、給与だけでなく労働の対価として支給されるすべての金銭・現物支給が含まれます。ただし、見舞金や慶弔費、年3回以下の賞与などの月次で支給されないものは、「報酬」には含まれません。

報酬に含まれるもの、含まれないものの具体例は、次のとおりです。

【社会保険の報酬に含まれるものと含まれないもの】
【社会保険の報酬に含まれるものと含まれないもの】

〇標準報酬月額の決め方

標準報酬月額は、資格取得時(入社等)、定時決定(毎年9月、算定基礎届の結果による)、随時改定(報酬の大幅な変動があったとき)に決定または改定されます。

・定時決定

毎年4月から6月までの報酬の平均値を平均報酬として、同年9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定します。たとえば、4月が22万、5月は18万、6月が20万の報酬が支給された社員の平均報酬は、20万円です。この20万円を標準報酬月額として、9月からの保険料を算定します。

→定時決定(算定基礎)について詳しく知りたい方はこちら

・入社時

新入社員については、入社時の初任給を基準として標準報酬月額が決まります。たとえば、2月に入社した社員は、初任給を基準に標準報酬月額を決めて、その年の4月から6月までの平均報酬で9月からの標準報酬月額を決めます。

・随時改定

昇給・降級により報酬が変更されて、3か月間の平均報酬が、現在の標準報酬月額と2等級以上の差が生じたときには、翌年9月を待たずに標準報酬月額を改定します。
たとえば、10月に大幅な昇給があった場合、10月から12月までの平均報酬で、翌年1月から適用される標準報酬月額を決定します。

→随時改定(月額変更)について詳しく知りたい方はこちら

┃まとめ

今回は、社会保険料を正しく算定するための社会保険料の計算方法、標準報酬月額の算定方法などについて解説しました。

社員の社会保険料を正しく計算するには、標準報酬月額の算定方法を理解する必要があります。

標準報酬月額は、基本的に入社時もしくは毎年9月に等級が決まります。標準報酬月額が改定されるタイミングや算定の基準となる報酬に何が含まれるのかをしっかり理解して、間違いのない給与計算を行いましょう。

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