テレワーク・リモートワークと最低賃金

テレワーク・リモートワークを導入する企業が増えています。

事業所の場所を意識せずに採用活動を行えるのは、大きなメリットですが、ルール作りやコンプライアンスの部分で気を付けるべき点も多いです。

目次

┃テレワーク・リモートワークと最低賃金

テレワーク・リモートワーク・在宅勤務勤務等(以下「テレワーク」といいます)を導入すると本社が東京にありながら、北海道や沖縄県の人を採用することも可能です。

テレワークであっても最低賃金法の適用を受けることになりますが、どの地域の最低賃金を適用させるかが問題になります。

┃最低賃金の適用は事業場ごとが原則

最低賃金は、事業場の場所によって決まるのが原則です。

そのため、東京に本社があり沖縄県に支社がある場合、どちらに所属しているかによって最低賃金が決まることになります。

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一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。
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会社内の所属だけを沖縄県にして実態としては、東京本社に勤務している場合には、東京都の最低賃金が適用されることになります。

しかし、この事業場の考え方には例外があります。

┃事業場に規模が小さく独立性がない場合

各地方に支店・支社があり、その拠点ごとに人事管理、労務管理が行われている場合には、上記の考え方によって最低賃金が適用されると考えられます。

しかし、在宅勤務の場合でその労働者の自宅を勤務地とするようなケースでは、その自宅を独立した事業場と判断することは難しいでしょう。

東京に本社があり、在宅勤務者を沖縄県で採用したとしても沖縄県の最低賃金を支払えばよい、ということにはならず、直近上位の東京本社の所属、という判断になります。

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場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。
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┃テレワーク・リモートワーク時の勤怠管理も重要

最低賃金法が適用されるということは、勤務時間に応じた賃金を支払う必要があります。

そのためには、在宅勤務者の労働時間を把握しなければなりません。

時間に応じた賃金を支払うということではなく、長時間労働や深夜労働の抑制のためにも適切な勤怠管理を実施する必要があります。

*本文中に引用した通達
(昭和四七年九月一八日)(発基第九一号)

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