1年単位の変形労働時間制┃1年を通した繁閑に対応

法定労働時間は原則として「1日8時間」「1週40時間」が上限となっており、この時間を超えると時間外労働として割増賃金を支払う義務が生じます。

1年を通じて月ごとに繫忙期と閑散期があるようなケースでは、繁忙期は長時間労働になるのに閑散期にはそれほど仕事がないということもあります。

そのような事業所が1箇月を超えて1年以内の期間において、労働時間の配分を変えてバランスをとることができるのが1年単位の変形労働時間制です。

┃1年単位の変形労働時間制

1箇月を越え1年以内の一定の期間を定め、その期間内で平均して、1週間当たりの労働時間を40時間以内にします。

一定期間内を平均して週40時間以内に収まっていればよく、特定の日または週においては、1日8時間または1週40時間の法定労働時間を超えて労働させることができます。

1年単位の変形労働時間制を導入した場合の労働時間の限度は「1日10時間」「1週52時間」になります。

┃導入に適している事業所

1年単位の変形労働時間制の導入に適している、または、導入することでメリットを得られそうな事業所は、次のような事業所です。

  • ・月によって繫閑の差が大きい
  • ・繁忙期には週休2日制を維持することが難しい
  • ・年間を通してみれば最低でも90日程度は休日を確保できる
  • ・1箇月超から1年単位で繁閑を予測したスケジュールが立てられる

特に完全週休2日制が難しいような場合には、導入を検討してみるとよいでしょう。

┃導入に適さない事業所

1年単位の変形労働時間制は、毎年手続きが必要になる他、若干手続きや運用に手間がかかりますので導入に適さない、デメリットが生じる事業所もあります。

・月によって繁閑の差があるが先が見通せない
・突発的な休日出勤なども多い
・手続きをするだけの十分な事務処理機能がない

事務処理機能についてはある程度、社会保険労務士にアウトソーシングして手続きをすることはできるでしょう。

しかし、1年を通じて慢性的な長時間労働になっていたり突発的に忙しくなったりするような事業所では、1年単位の変形労働時間制の特性を生かすことは難しいでしょう。

┃1年単位の変形労働時間制の効果

1年単位の変形労働時間制を導入することで、

  • ・一定期間内(例えば1年間/52週間)を通して1週間当たり40時間以内
  • ・「1日10時間」「1週52時間」まで労働時間を延長できる

と、いうことになります。

1年単位の変形労働時間制のルールの範囲内であれば、1日8時間を超えた時間や1週40時間を超えた時間も割増賃金が発生しません。

例1)
繁忙期・・・1日9時間労働×5日=45時間/週
閑散期・・・1日7時間労働×5日=35時間/週

例2)
繫忙期・・・1日8時間×6日=48時間/週
閑散期・・・1日8時間×4日=32時間/週

このような働き方も可能です。

┃導入のための手続きと注意点

1年単位の変形労働時間制を導入するためには手続きが必要です。

適切な手続きをせずに社内ルールで1年単位の変形労働時間制を導入したとしても割増賃金の発生は免れません。

〇労使協定の締結

1年単位の変形労働時間制を導入する場合には、労使協定を締結して労働基準監督署へ届け出を行う必要があります。

また、労使協定の有効期限は1年間で毎年更新が必要です。

〇就業規則の作成

就業規則に「1年単位の変形労働時間制を採用する」を定めて従業員へ周知する必要があります。

常時使用する従業員が10人以上の場合には、労働基準監督署への届け出も必要です。

〇勤怠管理・労働時間管理

1年単位の変形労働時間制を導入する場合でも時間外労働や深夜労働、休日労働は発生する可能性があります。

1年の中で日または週の所定労働時間時間が変動することも考えられるため、より適切な勤怠管理、労働時間管理が求められます。

その他、詳しい手続き等については、厚生労働省の資料を参考にしてください。

*厚生労働省
一年単位の変形労働時間制 導入の手引き