従業員等の年齢に応じて必要な手続きと労務管理

従業員(労働者)や役員などが一定の年齢に到達すると社会保険や労働保険の制度上、手続きが必要になるケースがあります。

手続き漏れがあると従業員に不利益が生じて事業主とのトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

今回は、節目になる年齢ごとに必要になることをお伝えしていきます。

┃年齢の考え方

労働・社会保険に関して、年齢についての記載を見ると「○歳に達した日」という表現を目にすることがあります。

この達した日とは、誕生日の前日のことを指します。ですから、4月1日が誕生日の人が○歳に達した日といった場合、「3月31日」を指すことになります。

┃40歳に達したとき(介護保険料の徴収開始)

介護保険料は「満40歳に達したとき」より徴収が始まります。健康保険の被保険者は、健康保険料と合わせて控除されます。

例)4月1日生まれの健康保険被保険者
40歳に達した日(3月31日)が属する月、つまり3月分から介護保険料の徴収が始まります。

会社勤めの場合等は、保険料は翌月徴収が原則のため、4月支給分の給与から介護保険料の控除が始まることになります。

┃59歳に到達したとき(離職票の発行)

雇用保険被保険者が退職する場合、事業主はハローワーク(公共職業安定所)に対して雇用保険被保険者離職証明書を提出することで離職票が交付されます。

雇用保険の失業給付(いわゆる失業保険)を受給するためには、離職票が必要ですが被保険者本人が希望しない場合は、離職票を交付しなくてもかまいません。

しかし、離職の日において59歳以上である被保険者については、本人が離職票の交付を希望しない場合でも離職票の交付が必要となります。

事業主としては、離職時の年齢を注意するようにしてください。

┃60歳・定年年齢に到達したとき(再雇用手続きなど)

60歳以降の定年退職後、1日の切れ目もなく再雇用された場合、雇用が継続しているため社会保険の資格喪失・資格取得手続きは行えません。

そうすると再雇用後、給与が下がったにもかかわらず、社会保険料だけが報酬が高いときのままというケースが発生します。

通常の月額変更を待つと社会保険料が改定されるのは3か月後、ということになります。

このような被保険者の負担を軽減するための手続きが「同日得喪(どうじつとくそう)」です。

60歳以降の定年年齢に達したことによる退職で、再雇用された場合、特例で社会保険の資格喪失・資格取得手続きを同日に行うことができます。

そうすることで給与の低下が3箇月待たずにすぐに社会保険料に反映されることになります。

ただし、就業規則に規定されている通りの定年退職であることや1日の切れ目もなく再雇用されている等、条件があるので注意してください。

  • ※同日得喪の提出書類
  • ・社会保険の資格喪失届/資格取得届(同日のもの)
  • ・退職したことがわかる書類(就業規則等)
  • →就業規則において「定年」ついて記載がある箇所の写し
  • ・再雇用されたことがわかる労働契約書の写し
  • ・従前の被保険者証(資格喪失のため保険証は交換になります)

┃65歳に達したとき(介護保険料の徴収終了)

介護保険料は「満65歳に達したとき」より徴収されなくなります。ただし、65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、市区町村から介護保険料が徴収されます。

老齢年金の受給者であれば、年金からの天引きが原則です。

例)4月1日生まれの健康保険被保険者
65歳に達した日(3月31日)が属する月、つまり3月分から介護保険料が徴収されなくなります。

会社勤めの場合等は、保険料は翌月徴収が原則のため、4月支給分の給与からは、介護保険料の控除がされなくなります(3月支給分まで控除される)。

┃70歳に到達したとき(厚生年金保険料の徴収終了)

社会保険の適用事業所に勤めている場合でも70歳に達すると厚生年金保険の被保険者資格を失います(厚生年金保険に加入できるのは70歳未満まで)。

継続して勤めている場合には、特に手続きは必要ありませんが70歳に達した月以降、厚生年金保険料の徴収を止めることを忘れないようにしてください。

70歳以上の人を新たに雇用した場合等は、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」の届け出が必要になることがあるので注意してください。

┃75歳に到達したとき(後期高齢者医療制度への移行)

社会保険の適用事業所に勤めている場合でも75歳に達すると健康保険の被保険者資格を失います。

75歳に到達した被保険者がいる場合には、資格喪失届を提出します。

被保険者本人は、後期高齢者医療制度への加入は市区町村により自動的に行われますが被扶養者については別途手続きが必要になるため市区町村へ確認が必要です。

なお、この場合の資格喪失日は、誕生日の当日となります。

┃さいごに

今回は、節目になる年齢ごとに必要になる手続きや注意点についてお伝えしました。

人事労務担当者、労働・社会保険の手続き担当者は、手続き漏れなどが無いように注意してください。

*e-GOV法令検索
年齢計算ニ関スル法律

*全国健康保険協会(協会けんぽ)
介護保険制度と介護保険料について

*日本年金機構
就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き