台風等の自然災害に伴う休業と休業手当

台風や大雨等の自然災害により休業を余儀なくされるケースがあります。

このよう場合に相談が多くなるのが「休業手当の支払い」についてです。

事業主としては、あらかじめどのような対応が必要なのか想定しておく必要があります。

目次

労働基準法の休業手当

労働基準法第26条では、次のように定められています。

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使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
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使用者(事業主)の責任でなければ休業手当の支払い義務はない、ということになります。

しかし、ここでいう「使用者の責に帰すべき事由」は、厳格に判断されるべきとされており、ただ単に「台風が来ているから休み」というだけでは、休業手当の支払い義務が発生することがあります。

使用者の責に帰すべき事由

店舗の改装による休業、工場の生産調整による休業などは、休業手当の支払い義務があるとされています。

どのような場合に休業手当の支払い義務が発生しないのか2019年9月5日に発行された

<令和元年8月の前線に伴う大雨による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A>

を参考に解説します。

Q1-4
今回の大雨による水害等により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け労働者を休業させる場合、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるでしょうか

A1-4
天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。

ここでいう不可抗力とは、
①その原因が事業の外部より発生した事故であること、
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

今回の大雨による水害等により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、労働者を休業させる場合は、休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故に該当すると考えられますので、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないと考えられます。


Q9-2

今回の大雨の被害により労働者が出勤できなかった場合、出勤しなかった日の賃金の支払は必要でしょうか。

A9-2
労働者の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労働者の不利益をできる限り回避するように努力することが大切です。(回答から一部抜粋)

以上、2つの回答を見てみると「事業場が直接的な被害を受けて営業ができない場合」には、休業手当の支払い義務は発生しない、と考えることができます。

反対に交通機関の乱れ等により出勤できないような場合には、一律に「休業手当の支払い義務が発生しない」という取り扱いを認めていません。

後者の場合には、「交通機関の状況」や「従業員の通勤経路における安全確保」等を総合的に判断した上で個別に判断をする必要があります。

最終的にはケースバイケース

「台風の影響でお客さんが少ないから帰っていい」
「台風の影響で電車が早く終わりそうだから帰っていい」
など、終業時刻を切り上げるにしてもさまざまなケースが考えられます。

休業手当の支払い義務が発生かどうかは、個々の事情を総合的に判断して行われるものです。

いろいろな事態を想定して早めの対応ができるよう現場レベルでの研修も重要だと考えられます。

※厚生労働省
令和元年8月の前線に伴う大雨による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A

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